アメリカ暮らしの安全はお金で買うもの?!

街の安全度をどうやって判断するか

 こんにちは、板東汰美です。前回は、クレジットヒストリーが低くてもアメリカでアパート(賃貸物件)を借りられた経験談を書いたので、今回は「どのようにして物件を決めたか」をお話ししますね。

 アメリカと日本で最も異なることのひとつが「治安」。だからこそ、なるべく治安の良い地域に住みたいものですよね。でも、異国の地で文化も何もかも日本とは違うのに、「安全な地域にある物件を探しましょう」と言われても、どうやって探せばいいかわからないのではありませんか?

絶対はずせない3つのチェックポイント

 そこで、私は「どのように地域の安全度を見ているか」をお話ししたいと思います。

 まず、これまでの経験から私がなによりも最初に気をつけて観察することは、「住みたい場所やその周辺に歩道があるかないか」です。それが「このエリアは安全か」のポイント第一号。歩道があるということは、地域の住人がジョギングや散歩ができるくらいの治安だろう、という目安になるからです(地下鉄や電車がほとんどないアメリカは車社会なので、どこにでも歩道があるわけではないのです)。

 次に、私が観察することは「芝や花など植物のメインテナンスがされているか?」。だって、たとえ歩道があっても、その歩道の上の芝がひざ丈くらいあったら、それは赤信号。歩道のメインテナンスは公的機関が行うか、住人の費用で行うかは地域によります。なので歩道の手入れが行き届いているところは、地域住民がきちんとしているとも言えるので治安の目安になります。

 三つ目は、その物件の周辺の商店やコンビニなどのガラス窓に鉄骨や鉄筋の柵がついていないか、ということです。鉄の柵は外から窓を壊されないための予防策ですから、それだけ強盗が多いということ。そういう地域には長居せず、すぐに退散しましょう(笑)。

 各州や郡で犯罪マップも公開されているので、それを参考にしてもいいと思いますが、私は実際の空気感を読み取ることはとても大切だと思います。ですから、下見に行くときは上記の3ポイントを気にして街を観察してみてくださいね。思わぬ気づきがあるかもしれませんよ。ただし、直感を鍛えるためになんていって、くれぐれも危ない場所には近づかないでくださいね~。

アメリカの賃貸物件と治安の関係性

 その土地に行ったことがなくても、この物件は「おそらく安全だろう」といえるいくつかのポイントもあります。

 例をあげると、まずは「家賃が高い」ことでしょうか(笑)。そして「賃貸物件の駐車場や建物の前に停められている車の車種」、「車庫が建物内に併設されているか」などなど。もちろん「地域でも有名な高級住宅地」、「エントランスにコンシェルジュが常駐」など条件を読むだけでわかることもありますが、「マネージャーがしっかりしていて良さそうな人」ということも大きな判断基準になりえます。

 私の場合、上記に加えて、その地域の10年~15年前(それ以上でもOK)の歴史や治安状況データを調べたり、周囲にその地域の噂を聞いたりもします。バブル経済や行政改革等で一気に開発された地域では、建物は新しいのになぜか鳥肌が立つような感覚があったり、人の往来に違和感を感じたりと、街の治安が開発のスピードほど追い付いていない場合もあるので、しっかりと事前にリサーチをすることをお勧めします。人里離れた田舎でもないのに、あまりにも安い物件も避けたほうが無難かもしれません。

 さらにもうひとつ、物件探しの際に私が避ける地域があります。それは賃貸物件が集合している地域です。なかでも異なる運営会社のアパートが集まって建っている地域は人の出入りが激しいので、よく言えば賑やかですが、悪く言えば定住者が少なく治安が悪くなりがち。こういう場所にある物件選びには注意が必要だと思います。

 それから以前、不動産の専門家から、比較的安心な賃貸アパート物件は、スタジオ(ワンルーム)、1LDK、2LDKなど「間取りの選択肢がある物件」だと聞いたことがあります。そういう物件には家族も暮らしていることが大きいようです。スタジオと1LDKの間取りのみの集合物件だと、学生や比較的若い層の独身者が住むことが多くなるので、テナントの出入りが頻繁で安定しにくいからだそう。でも家賃が高騰している昨今のアメリカでは、この情報は当てはまらないかもしれないですね(苦笑)。

「その人は家の中に入っていますか?」

 私が以前働いていた会社は、あまり治安の良くない地域にありました。そのせいかどうかはわからないけれど、なぜか不思議とカラフルなキャラの濃い従業員が多い会社でした(笑)。

ある日のランチ時、同僚が「昨晩ね、お義母さんの家に強盗が押し入ったのよ」と、半ば自慢げに話し始めたのです。「えーっ!? 無事だったの?」と皆が声をあげましたが、「物は盗られたけれど、お義母さんは無事」だとのこと。ただ、一同騒然となったのは、それよりもお義理母さんが掛けた911(非常時コールセンター)の対応でした。同僚によると、こんな流れだったそうです。


義母「もしもし! 誰かがうちの玄関をガチャガチャしてて怖いんです。押し入られるかもしれないから、警察にきてほしいの」

オペレーター「ガチャガチャしてるんですか?」

義母「ええ、今にも入ってきそうです、早くしてください! ドア壊されそうです」

オペレーター「その人は、家の中にはいっていますか?」

義母「ノー! でも今にも入りそうだから電話してるんじゃないの! 早く助けに来てください」

オペレーター「その人が家の中に入っていないのであれば、誰も送れません」


 これを聞いて、私はものすごく驚いてしまいました。「犯罪が起こってからでないと、警察は発動しない」なんて。その地域では、実際に起き続ける数多くの犯罪の対応に警察が追われていて「犯罪が起きそうだ」という状況には、警官を派遣することができないことが理由で、それほど普段から「治安が良くない地域」ってことなのです。

 一方、知人の家に遊びにいったときに聞いた話には、またまたビックリ! 「最近、見覚えのない車がうろうろしてるから、警察に電話して、ちょっと見に来てもらったのよ」と、当たり前のように言うではありませんか。何も起こっていないのにすぐ様子を見に来てくれる地域の警察と、秒速で事件が起きそうでも来てくれない警察。しかも、どちらも同じ州内の話なのです。アメリカの経済格差による治安の違いを垣間見た気がしました。

 こういうことを聞けば聞くほど、「変な車(または変な人)を見たんですけど〜」という電話一本で警察が来てくれる地域に住みたいなと思ってしまいますが……。

 みなさんも、異国の地で住む場所を探すときは、安全はある程度、金額に比例することを忘れずに気合をいれて探しましょう。

<これまでのお話はこちらから>

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