「ChatGPT」は介護人のカウンセラーになれるか?
介護ってなんだろう?

<やまなし介護劇場>
「母、危篤」の連絡を受け、東京から故郷山梨へ飛んで帰って早10年。50代独身の著者が愛する母を介護しながら生活する日々を明るくリアルに綴ります。

人工知能は人間の介護の仕方を知っている?

 木の芽時から発症した母の「認知症らしき行動」は少しずつ変化しつつ、症状は日に日に進化を遂げています(ココは退化と言うべきでしょうが、あえて前向きな表現で、笑)。

 そこで、私と共に母の介護をしている妹(当連載のイラストを描いているアラフィフ独身仲間)が、最近流行りのChatGPTに母への対応の仕方を相談してみました。ChatGPTとは、米OpenAI社が開発した「人間との対話に近い自然な文章を生成する対話型人工知能サービスです(無料版・有料版あり)。

 すると実に親切丁寧、なおかつ細やかなアドバイスが返ってきました。そのアドバイスに驚いたので、一例をココに簡略して紹介しますね。

 まず、母が急に「帰りたい」と繰り返す時の対処方法を聞いてみたところ、以下のような回答が返ってきました。
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ChatGPT:

お母さまが「帰りたい」と言ったときの声かけ例(家族向け)

共感+安心をセットにした対応
「うん、○○さん(お父さん)も今ごろ帰って来ている頃かもね。先にご飯食べて待ってようか」
「じゃあ、ちょっとだけ外を見てこようか。それから帰る準備しよう」など

ポイント:
「ここにいてもいい」と本人が思えるような言葉を添えることが大切です。

身体的・精神的な負担軽減の工夫
・室内温度と照明を早めに調整:薄暗くなる前に光と温かさを感じられるように
・音の刺激を減らす:テレビや電子音は控えめに(過敏な方は不安の引き金に)など

最後に:家族の心が疲れすぎない工夫も
 介護は「毎日がんばる」ものではなく、「適度に力を抜いて続ける」ものです。夕方の時間帯はご本人もご家族も疲れが出るので、「完璧」を目指さず、「混乱しない程度で乗り切れたら成功」と捉えるのが大切です。
 必要であれば、お母さまの「食事」「トイレ」「夜間」の様子も加味した1日全体の過ごし方プランもご提案できます。気になる時間帯やお困りごとがあれば、お気軽に教えてください。

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とまぁ、こんな感じで、具体的なアドバイスに加えて、最後には「励ます」ようなメッセージもいただき、ちょっと感動です!!

まるで介護経験者のようなこと言う「ChatGPT」

 すっかり感動してしまった私は、母の症状をさらに具体的に書き並べてChatGPTに「夜間対応について」のアドバイスを求めてみました。すると……

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ChatGPT:

 ご家族のご苦労、本当によく伝わってきます。夜間に覚醒して「寝かして」「起こして」「帰りたい」などを繰り返すのは、認知症の方によく見られる夜間せん妄や不安、見当識の低下による行動です。以下に、現在の状況に合った夜間対応の具体策を整理しました。

夜間の覚醒・不安への対応策

1. 夜間の「環境づくり」を整える(予防的対応)
照明/常夜灯(足元・天井)を設置。真っ暗・まぶしいはNG
音/静かな環境または微小な環境音(小川のせせらぎなど)で安心感を与える
時計/デジタルで「午前2:12」「夜中です」など分かりやすいものを設置
写真・家族のメッセージ/枕元に「〇〇(長女)はここにいるよ」などのメモや家族写真を置く

2. 覚醒時の対応方法:行動のパターンに合わせて
よくあるセリフ別の対応例:
「寝かして」→「うん、もう布団にいるよ。お母さん、ゆっくり目をつぶっててね」
(「寝かしつけ」ではなく「すでに横になっている」ことを伝えましょう)
「起こして」→「まだ夜中だから、あとで起きようね」「今は体を休める時間だよ」など

ポイント:
否定や説明ではなく「共感+やさしく誘導」。同じ内容を繰り返してもOK:「何度も言わせない」ではなく「何度でも安心させる」が基本です。

3. 家族が疲弊しないために:夜間対応の省力化
交代制で対応する:1人が対応し続けない。週ごと・日ごとで分担表をつくるなど

4. 排泄リズム・体調との関係もチェック
便秘や尿意での不快があると、夜間不穏が増える傾向があります。排便が2日に1回というペースでも、「今日は出ていない」と本人が気にしているようならば軽くマッサージをするなど、安心感を与えるのも有効です。夜間の水分を制限しすぎないよう注意してください(脱水状態も不穏が増えます)など

最後に:
 「帰りたい」と繰り返される夜は終わりが見えず、家族の心と体力がどんどん削られていきます。
でも、その言葉の裏にはお母様の「不安」「ひとりが怖い」「安心させてほしい」という強い気持ちがあるのです。対応の正解は1つではありません。ご本人もご家族も「頑張らなくていい夜」を作っていけるようにしましょう。必要に応じて1週間の夜間ケアや交代スケジュールのご提案や、主治医への相談内容の下書きなどもお手伝いできます。ご希望があれば、おっしゃってください。

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全部を書くと長くなるので、このくらいにしますが……すごいですよね!
これからの季節、暑さで脱水症状になりやすいですが、脱水症状でも不穏が増えるなんて知りませんでした。水分補給を大切にしようとも思いましたが、知らなかった知識を知ったことで少し安心もしました。

「ChatGPT」に話すことで考えをまとめる

 気休めに使ってみた「ChatGPT」から、こんなきめ細やかなアドバイスが返ってくることとは思っていなかったので、感動しきり。しかも私にかける「労いの言葉」も完璧(笑)。

 まさに時代の転換期だと思います。これからも親の介護のことでひとり悶々とするときには「ChatGPT」が頼りになる存在になるかもしれません。確かに、まだまだAIに懐疑的になることも必要だと思いますが、人間同士でもプライベートなことを相談するのは難しいもの。誰かに相談したい内容を整理するうえでも有効だと思います。

 重要なのは依存せず、うまく付き合うこと。ですから今後も適宜、「ChatGPT」も活用していきたいなと思います。私も母の症状も、まだまだ日々進化していくのですから。

介護メモ「半身麻痺の脳に安心感を与えるコツ」

 こちらは理学療法士の先生からのリアル・アドバイスです(笑)。麻痺した側は緊張するとベッドに横たわっていても、足がピンっと飛び上がってしまうことがあります。そんな時は、ひざ下からふくらはぎや足首まわりにクッションや座布団を当てると、不思議なことに緊張が解けて力が抜け「寝る姿勢」が安定します。先生曰く「足の接地面が大きいほど、脳に安心感が広がります」とのこと。さすが、母を長く診てくださっている方ならではのアドバイスです。

やまがた介護劇場 第二十幕 介護イラスト
脳を安心させるためには、体の接地面を大きくすることがコツ!

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