コーヒー片手に花火を見ながら気がついたこと

 コロナ終息で勢いづくアメリカでは、例年よりも周囲の気分の高まりが感じられた独立記念日。お祭り騒ぎも終わり、すっかり落ち着きを取り戻したアメリカ南部から、ジョーンズ千穂です。こんにちは!

 この独立記念日の前に、デビちゃん(夫)の母、つまり姑が遠方から久しぶりに我が家に遊びに来ておりました。数日滞在して姑が帰っていった後に迎えた独立記念日の花火を眺めながら、ふと、わたしは感慨深くなりました。それは、手に持っていたコーヒーのせいだったかも知れませんが、あることにハッと気づいたからでした。

忘れもしない因縁の宴席

 この「あること」とは、なんと私がデビちゃんと結婚した年にまで遡ります。

 それは、忘れもしない13年前、私たちの結婚式の前夜のことでした。アメリカでは結婚式の前日に挙式、披露宴に関係する人たちを集めた式のリハーサルがあり、その後に両家と重要な参列者の顔合わせようなリハーサル・ディナーと呼ばれる食事会があります。特に新婦には注目が集まり、とても緊張する時間なのです。

 アメリカにいらしたことのある方はご存知かと思われますが、アメリカのレストランの中は、冷房がこれでもか!というくらいに効いていて、凍えるほど寒いんですよね。そこにセミフォーマルなドレスで参加した私は、ほぼ凍えながら、初めてお会いする相手側の親族に笑顔で対応していました。しかし我慢しきれなかったので、寒いとデビちゃんに訴えると、「温かいコーヒーでも頼もうか?」と言ってくれたので、お願いしました。

  たくさんの人でごちゃごちゃしているレストランだったので、彼がオーダーするために席を立ち、その場からいなくなったその瞬間、私たちの会話を聞いていた義母様(姑)が強い口調で私にこう言ったのです。

「お湯、飲めば!?」

……皆さんなら、こう言われたら、どう感じますか?

 結婚式前日に親族となる人たちを前に緊張している新婦が、寒いから少しでも温まるためにホットコーヒーをお願いしたら、姑になる人から「お湯、飲めば?」とご指摘された……。ちょっと頭が真っ白になりませんか?

なんで、こんなことを言われなきゃいけないの?

 私がすかさず思ったのは、「このディナーの費用は義理の両親が支払うから、コーヒーの追加費用がかかるので、お湯にして欲しいと言ったのだろう」でした。

でも、姑の口調が強かったので命令にも聞こえ、しかもデビちゃんがいなくなった瞬間を狙って出た言葉だったので、「え、これ、嫌がらせ?」という思いが頭をよぎったのです。もちろん、その前からちょいちょい“義母様からのアドバイス”はあったので、「こんな大事なディナーの時にまで、そんなことを命令してくるの?」という驚きと、それを言われた動揺と悔しさ、そして虚しさで心が大きく揺さぶられました。 しかも、私の父が脳梗塞をしていて飛行機には乗れない体調だったので、私の親族は誰もそこにはおらず、私は完全アウェーだったのです。今となっては、親族が誰もいなかったので、いらぬ心配をかけずに済んで良かったなと思いますが(苦笑)、悔しくて、寂しくて、レストランを飛び出して、ひとりで裏の駐車場で泣き叫びました(笑)。

心配したデビちゃんが追いかけてきて私の話を聞いてくれ、彼のジャケットを借りてレストランに戻りました。そして義母に発言の理由を聞きましたが、「千穂の勘違いよ~」の一言で終了……。”You can drink hot water!”のような簡単な英語を、TOEICほぼ満点の私がどうしたら勘違いできるのでしょうか?! この不思議な疑問にさらにムカついて、爆発しそうだった……というのが、私が因縁の宴席と呼ぶ事件の全容です(笑)。

嫁姑問題、遂に決着なるか!?

 独立記念日の花火を眺めながら、そのことを急に思い出したのは、少し肌寒くなったのでコーヒーでも飲もうかなと思ったからでした。「もう夜遅いし、寝られなくなると困るからディカフェ(カフェイン抜き)のコーヒーにしようかな」と思ったその瞬間、あのレストランのシーンが蘇えりました。

「もしかしたら……、あの時、姑は私が結婚式の前日にちゃんと睡眠をとれるようにと、カフェイン入りのコーヒーではなく、お湯を飲めばと配慮して言ってくれたのかもしれない……」という思いが頭に浮かんだのです。

13年前の日本にはディカフェなんて出回っていなかったし、その頃の私は、夜にカフェインを摂取すると眠れなくなるなんてことも知りませんでした。でもアメリカでは1970年代からディカフェが現れ、ヨーロッパよりも浸透しているそうですから、朝はカフェイン入りのコーヒーを飲んでも、お昼を過ぎたらカフェイン入りは避けるアメリカ人も結構多いのは確かです。

そういえば、先日まで我が家に遊びに来ていた姑は、「お昼を過ぎたらカフェインは一切摂らないの。ちょっとでも入ってると寝られなくなるのよね」と、仰っておりました。ちなみにデビちゃんもカフェインには敏感なので、コーヒーは朝の1杯だけにしています。

「あれ、私の勘違いだったのかな? もしや今夜、眠れないと困るからという気遣いだった?」と、ちょっと愕然としちゃいました(苦笑)。そして、「は〜?」と思ったのなら、イライラしながら我慢するのではなく、「なんで、そんなことを言うんですか?」と理由を聞けばよかったと反省しました。コミュニケーションって大事! 姑だからって我慢しないで良いはずなんです。

 ただひとつ、今もまだ疑問なのは、「なんであんなに強い口調で言ってきたのか?」ということですが、持病の薬のせいだったかも知れません。そう思ったのは、姑が薬を飲まなくなってから、人が変わったように優しくなったから。たぶん、本来は朗らかで優しい人だったんだろうな、と気づいたんですよね。

これが正しいかどうか、真相は姑にしかわかりませんが、そうかもしれないと自分が思えて良かったと思っています。たとえそれが自分の大切に想っている母親相手だとしても、どんな時も私の話をしっかり聞いて公平に状況判断をし、私の見方になってくれているデビちゃんには感謝しなくては。というか、そういう人と結婚して良かったと思うこの頃です。

次回はアメリカ人の姑から頂いたアドバイス編をお伝えしたいと思います。それでは皆様、ごきげんよう!

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