
【国際結婚・海外移住の質問に答えます!】
人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴17年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。
読者からの質問:アメリカ人に言ってはいけないことは?
都内のIT系企業に勤務していますが、留学も海外生活もしたことがないので、アメリカ人の同僚との付き合い方の正解がわかりません。先日すごく疲れが顔に出ていたので、それを伝えたら、それ以来なんとなく避けられているようなのです。言ってはいけないことを言ってしまったのでしょうか?
人の外見にコメントするのはNG
こんにちは!あ~、これは、相手を気遣った一言が誤解を招いてしまったパターンですね。英語でどう声掛けをされたのか分かりませんが、もしかして日本人が英語で人に言いがちな”You look terrible! “(terrible=ひどい)ではありませんでしたか? もしそうなら、言われた相手はあなたの言いたかった意味には受け取らなかった可能性大です。
日本では、たとえば親戚の集まりとかで久しぶりに顔を合わせた叔母さんが、挨拶もそこそこに「あら、〇〇ちゃん、ちょっと太ったんじゃない?」とか、ぽっちゃり体型の女性に「もしかしてオメデタ?」なんて声を掛けることがありますよね。でもアメリカでは、大柄な人に「また太ったんじゃない? 少し気をつけた方がいいわよ」とか、痩せている人に「もっと栄養つけなきゃ!」みたいなことは口が裂けても言ってはいけません。
それと同じく”You look terrible!”は、日本語の感覚のままだとつい言ってしまいがちですが、英語ネイティブからすると、その意味は「あなたはが見た目(外見)がひどい(悪い)」になります。また、他人にそういうことを言うのは、アメリカではBody Shaming(ボディ・シェイミング / 外見・体系の批判)の一種と受け止められることもあり、アメリカの職場では「そんなことを言うのはハラスメントだ」と人事部に相談に行かれてしまうレベルなんです。
相手が疲労した様子を労いたいならば、”Are you feeling OK?”とか”Is everything going ok?“など、まず相手をケアする言葉をかけてから、その後に” You look a little tired”(少し疲れて見える)を付けたらベターだったかも知れません。”You look terrible!”よりも”You look tired”の方が柔らかいものの、それでも開口一番にそれを言ったら、「なぜ、そんなことをわざわざ言うの?」と気分を害す人も多いでしょう(あなたにはそう言わなくても、苦)。「疲れて見える」=「見た目が悪い」と受け取る人もいますので注意が必要です。
なので、「どうしても相手の外見についてコメントしたい」なら(笑)、クッションになる一言を言ってから言うか、我慢できるなら“見た目“に関してはコメントしない、触れないのがベターかと思います。今回ご相談のケースの場合、相手は日本で勤務されているアメリカ人なので、あなたは英語がネイティブではないことを理解して受け取ってくれるでしょうが、すごく疲れている様子だったとのことなので、もしかしたら相手の心にはそんな余裕がなかったのかもしれませんね。
アメリカでは「善かれと思って言ってあげた」はNG
アメリカでは、人の外見については「コメントしない」のがディフォルトだとお分かりいただけたと思いますが、アメリカでは「善かれと思って他人の外見や行動を指摘する」のも御法度です。
アメリカでは「相手を褒める」ことが社会の基本ルールのひとつなので、単に人を褒めることは大いに推奨されます。でも、なかには「相手を褒めるつもりで言ったこと」が、相手はそう取るどころか、ディスられたと受け取る場合も多々あるので注意が必要です。そして、これが起きやすいのも「相手の外見を褒めるとき」です。
日本人が「善かれと思って」アメリカ人に言ったことが、相手の逆鱗に触れてしまった例をいくつか紹介しますね。まず、よくあるのが、「顔が小さくて素敵ね」。アメリカだと、これは喧嘩に発展してもおかしくないような侮辱的な表現で、なんと「顔が小さいから脳みそも小さい=バカ」と言われたと捉える人もいる危険なコメントなんです。
肌の色の白さのコメントも要注意です。日本や東アジアでは、肌が透き通るように白い人は美しいとされていて、昔のことわざには「色白は七難隠す」なんてのがあったくらい日本人にとっては褒め言葉の「色白」。でも、それを白人に「色が白くていいわね」と言ったら、「白(人)だから何だと言うの?あなたは有色(人)はダメだと思っているの?」とキレられてしまうこともあります。言った側がアジア人でマイノリティーであっても、「そんなことを言うなんて差別主義者なのね」と攻撃されてしまったという話も聞いたことがあります。今のアメリカらしいなと思わされるような例ですよね。
また鼻が低い日本人からすると羨ましい西洋人の鼻の高さですが、「鼻が高くて素敵ね!」と言うのもNGです。アメリカでは手術をして鼻を低くする人も結構いるので、相手はそれを良いこととは思っていない場合もある、というわけです。私たちの一重瞼と同じなんじゃないかな。
とにかく、すべてに共通する注意事項は「外見や身体的な特徴には触れないこと」。ほんとにコレに尽きます! アメリカに長く住んでいる私でも、つい日本の感覚で何か言ってしまい、相手の顔色を見て「しまった!言い方を間違えた!?」とヒヤっとすることもあります。そんな時はすかざす「I mean xxxxx」(そうじゃなくて、こういう意味で伝えたかったの)とフォローや弁解を加えるわけですが、そういうこともちょいちょいあります(汗)。
でも、何か話さなきゃいけないとか、なんとか仲良くなりたいとか、どうしても会話を弾ませなければいけない状況ってありますよね? そんな時に「どうしても相手の外見について何か言いたい」ならば(笑)、「そのブラウス、とても素敵ね」のように相手の「容姿そのもの」ではなく、相手が「身につけている何か」を褒めて会話をつなげましょう!

<国際結婚や海外移住に関する質問を募集します!>
国際結婚、海外移住などを通して選択肢を広げたいと考えている皆さんから、このコラムの著者、ジョーンズ千穂さんへの質問を募集します!上記のバナーをタップしてメールフォームからご送付ください。質問は匿名でもOKですので、フォームのお名前欄に「匿名希望」(またはペンネーム)をご記入ください。