年に一度のロマンティックな日に「今夜、観たい映画」

Vol. 12 「バレンタインデー」

 そろそろやってくる、バレンタインズ・デー(Valentine's Day)。日本ではチョコレートのお店が賑わいを見せますが、欧米では主に男性が女性に愛のこもったギフトを贈る日なんです。この習慣、日本でもそうなってくれないものでしょうか(笑)?

 今回ご紹介する映画は、ゲイリー・マーシャル監督の映画「バレンタインデー」(2010年)。もちろん、おひとり様でも楽しめますが、パートナーと観ていただくと、もしかすると良いことが起きるかも?

 では、まずは予告編をご覧ください。

バレンタインズ・デーの1日を通して描く、様々な恋愛

 この映画は、ロサンゼルスを舞台に、バレンタインズデーの1日に起きる15人の恋愛を甘く切なく描いたロマンティック・コメディです。登場する役者たちは超豪華キャスト。20代から60代までと年齢層も幅が広い。様々な恋愛劇が絡み合い、それぞれの関係がラストには繋がって行くという流れのお話なんですが、心に響く台詞やシーンが盛りだくさんです。

ここでは日本では遭遇しないであろう「憧れてしまうシーン」や、「素敵な贈り物の渡し方」、「名台詞」などをピックアップしていきます。

フローリストのリードの場合

 まず映画は、フローリストのリード(アシュトン・カッチャー)が、「バレンタインズ・デー、おめでとう」と言いながら、プロポーズをする幸せなシーンからのスタート。跪いて指輪を贈るというプロポーズの仕方は、日本ではなかなか見られない光景でしょう。アメリカで一度、そんな光景を目にしたことがあるのですが、周りからは拍手が沸き起こっていました。

 そのあとリードは、1年の中でも最も賑わいを見せるフラワーマーケットへ、満面の笑みを浮かべながら向かいます。このシーンは、思わず気持ちが高揚しますね。色とりどりの花々が画面に映し出されるだけで、その美しさに心が踊ります。 リードの愛は実るのだわと思いきや……。

熟年夫婦エステルとエドガーの場合

 熟年夫婦の夫役のエドガーが、バレンタインズ・デーの朝に妻へプレゼントを渡す贈り方が、なんとも粋なのです。シルバートレイの上に、CHANELの香水No.5と長年住んでいる家の庭の薔薇の花を載せて、まだベッドで眠っている妻のエステル(シャーリー・マクレーン)にプレゼントをするのです。

香水の好みって相手のことをよく知っていないとなかなか出来ないものです。そしてポイントは、お庭の薔薇を添えているというところ。きっと二人で長年、丹念に愛情を込めて育ててきた薔薇だろうから、特別です。このシーンは熟年夫婦ならではのお話なんでしょうが、将来こんなことが出来たら幸せですよね。

機内で出逢った男女、それぞれの場合

 そして、同じ飛行機で隣同士の座席に座るホールデン(ブラッドリー・クーパー)と、ケイト(ジュリア・ロバーツ)が登場します。この二人が出てくると作品に重みが出ますし、笑えるシーンもありなので乞うご期待!

 初めのうちは、隣に座るホールデンとなかなか打ち解けないケイトですが、時間が経つに連れて距離が近づいて行きます。ケイトは従軍中の大尉で、バレンタインズ・デーを一緒に過ごしたい人に逢うのは11カ月ぶりという設定。ケイトは話の途中で、自分は仕事柄、相手の心を読む訓練も受けていると言うことを、ホールデンに伝えます。そして「あなたは、ロマンスに嫌悪感がある」と、彼にとっては衝撃的な言葉を放つのです。

この言葉の意味は映画のエンディングへと繋がって行くのですが、果たしてこの二人はどんなバレンタインズ・デーを過ごすことになるのでしょうか? 登場シーンは短いものの、この二人がそれぞれに見せてくれる意外なストーリー展開は絶妙です。

ブラッドリー・クーパーも素敵なのですが、目の保養にもなるのが他の役者陣。NFL選手役のエリック・デインは、かなり鍛え上げられているボディを見せてくれますし、医者役のパトリック・デンプシーも登場します。スポーツキャスター役のジェイミー・フォックスも笑わせてくれるので、このキャスト達がどう繋がってくるのかというのも見所です。

心に残る名台詞の数々

 最後に、劇中で使われた恋愛にまつわる「名台詞」をいくつかご紹介しましょう。なかには、いろいろ考えさせられるものもあるかも知れません。

愛はこの地球最後のカンフル剤なんだから
最高の相手には 最高の贈り物を
彼女は、そう、太陽なんだ
簡単さ、親友と結婚したんだ
恋は足を踏み入れるものじゃない、落ちるものだ。真っ逆さまに
結婚って考えて決めるもの? 直感的なものじゃ
チャンスは意図的に作るんじゃなく、自然にそうなるべきだと思うの。 刻がくるのを待ちたいのよ

なかでも私が一番好きな台詞は、熟年カップル、エステルとエディソンの言葉です。

愛とは相手を丸ごと愛すること。 良いところも、悪いところも

この台詞はマイベスト! ここがパートナーとの関係が続くかどうかの一番難しいところでもあるのですよね。これからの長い人生、この台詞は常に心に留めておこう思いました。ここまで二人の愛を達成することが出来たら本望です。

ラストは、さすがのゲイリー・マーシャル監督。15人それぞれが、愛に溢れるエンディングで映画を締め括ってくれます。エンディング・ロールに、アドリブ・シーンやNGシーンも出てくるので、最後までお見逃しなく。では、みなさまも愛する人と、素敵なバレンタインの一日を過ごせますように。
Happy Valentine's Day!

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