新年の幕開けはゴージャスに!「今夜、観たい映画」

Vol.10「NINE」

 明けましておめでとうございます。

今年2021年の1本目は、ド派手にシャンパンのコルクが弾けるようなゴージャスなミュージカル作品で賑やかにスタートさせたいと思います。

ご紹介するのは、とびっきりのエンタメ、盛り上がり度満点の映画「NINE」(2009年)。これはフェデリコ・フェリーニの自伝的映画「8  1/2」(1963年)のリメイクではなく、「シカゴ」でオスカーを受賞したロブ・マーシャル監督がミュージカル「NINE」をベースに映画化した作品。もちろんフェリーニ監督へのオマージュは、あちらこちらに散りばめられています。 

1本の映画にこれだけのキャストが揃うなんて、新年の幕開けにふさわしい! まずは予告編をご覧ください。

スランプに陥った天才監督を巡る絢爛なストーリー

 予告編に使われている曲は、ミュージックシーンでグラミー賞を8回も受賞しているファーギーの迫力ある「Be Italian」。売春婦のサラギーナ役を演じたファーギーはもちろん、他の女優たちのウーメン・パワーが炸裂します。この女優陣が歌うだけではなく、こんなにも踊れるなんて思ってもいませんでした。さすが、プロフェッショナル! 絢爛豪華でテンションがかなり上がります。

 ストーリーは、「ITALIA」という映画の制作にあたり、スランプに陥っているダニエル・デイ・ルイス演ずる天才監督グイド・コンティーニが、女性たちから自分の作品のインスピレーションを得ようとすることを巡るもの。女性たちも彼に無性の愛を与えるのですが、その女性役たちが豪華すぎて映画を観ているうちに、とりあえずグイドのストーリーはもういいかな、と放ってしまいたくなるほど。このグイド、現実逃避して幻想に走ってしまう傾向があり、ちょっとどうしようもないんです。ハッピーな映画ではないんですが、素敵すぎるので許せます。

映画に流れる曲もすごくいい!

 「女優たち+グイド」の曲は主に10曲が使われていますが 目を見張るほどグラマラスなものもあるので、おうちでの新年会のバックに映像を流していても楽しいかも。

 まず1曲目の「フィーメール・アンサンブル」では、グイドの人生に関わった現在・過去の女性たち全てが紹介される形で登場します。彼の映画のミューズであるクラウディア(ニコール・キッドマン)、彼を理解しようと苦悩する妻ルイザ(マリオン・コティヤール)、愛人のカルラ(ペネロペ・クルス)、アドバイスをくれる衣装デザイナーのリリー(ジュディ・デンチ)。そして、そして! マンマ役のソフィア・ローレン様も登場。

さらに私の大好きな『Vogue』誌の記者ステファニー役を演じたケイト・ハドソンも、ポールから滑り落ちながらステージに降り、サラギーナ役を演じたファーギーを加えたこの7人の女性が曲のラストに並んでポーズを取るシーンを観ると、圧倒されるとともに、これから凄いものが始まるぞーと興奮してしまいます。

グイド役のダニエル・デイ・ルイスの魅力

 そんな中、グイド役のダニエル・デイ・ルイスの魅力も、これまた60年台のイタリア男性の格好よさを感じさせてくれ、いいシーンを見せつけてくれます。

アルファロメオのスポーツカーでソフィア・ローレン様をナビシートに乗せてローマのポポロ広場を走るシーンは、まるで当時の映画を観ているよう。極上の共演ですね。フェリーニ監督の「甘い生活」を彷彿させるようなシーンもあり、フェリーニゆかりのスタジオ「Teatro No.5」の外観も映し出されます。そんなシーンで Dolce and Gabbanaのお二人や、ソフィア・ローレンの姉妹がチラリとカメオ出演しているところもあるので、しっかり観てみるとさらに面白いですよ。

車を運転するグイドの中で印象に残ったのが、ローマの海沿いを走るシーン。ヘリコプターから撮影したそうですが、青い海の向こうに映る風景と色彩は見惚れてしまうほど。すべてのことから開放されたいがために車を走らせる彼の心境が伝わってきます。

美しい女優陣の瞼に焼き付くようなダンス

 ではでは、そんなグイドの存在をも消し去ってしまうのではないか、と思うほど強烈なインパクトを残してくれた女優陣たちの曲、ダンスのお話に戻りましょう。

 まずは、グイドの愛人であるペネロペ・クルス演じるカルラの「A Call From Vatican」。これもグイドの幻想なのですが、ステージで踊る彼女のセクシーなこと! ロープにぶら下がるシーンではなんと血が出てしまうほどリハをしたとか。でも、そんなことは思わせないぐらいギリギリなエロティック度が画面から感じられます。なんとも官能的。豊満なボディ、これはデンジャラス過ぎます。

 そして、やはりサラギナ役ファーギーの「Be Italian」は歌唱力だけではなく、演技力も加わり、体全身から湧き出てくるパワフルなボーカルを聞かせてくれます。吹っ飛ばされそうになるほどエネルギッシュ。このシーンは9歳の時のグイドの幻想なのですが、これでもかって感じのフシダラなセクシーさで迫ってきます。

 私が最高に舞い上がるシーンが、『Vogue』誌の記者ステファニー役のケイト・ハドソンが見せる「Cinema Italiano」!!! ここはもう、魂というか体が震えてしまうほど。大袈裟ですが失神しそうになるほど私にとっては映画史上、最も瞼に焼き付いているシーンなんです! この曲だけは映画のために書かれたもので新しいんですね。ここもグイドの幻想のシーンではありますが、60年代のテイストを入れつつも、モノクロを混ぜる映像は最高にスタイリッシュ。白いフリルのついたドレスを着たケイトを取り巻くファッショナブルなスーツ姿のイタリアン・ダンサーズたちも目の保養になります。

ケイトがこんなに踊れて歌える才能を持ち得ている女優さんとは、これを観て初めて知りました。でも考えてみれば、彼女のママはゴールディ・ホーンですものね。歌って踊るDNAは受け継いでいるわけです。本人も「私は歌って踊りながらこの世に生まれてきたのよ」と話すほど。

このシーンのクリップだけVimeoで観ることも出来るので、私なんぞは、どこかに気合を入れて外出する時のメイクや支度をする時のBGMは必ずこれです。ここだけの話ですが、ひとりで踊り始めてしまうこともたまにあり(笑)。グイドのような幻想の世界ではなく、私は妄想の世界に入っていますね こういう時って。

映画と一緒にシャンパンを開けて

 グイドがシャンパンを開けるシーンがありますが、パーティーしながら観ているならば是非彼と一緒にポンポンと開けていただきたいです! シャンパンの泡を観ているように、きっと幸せな気分になれるかも。

 ところで、グイドの彼女であるステファニーはミュージカルではない映像で初めて登場します。そのせいか映画のストーリーとはあまり関係なく、グイドの内心よりも彼の外見、イタリアのファッション、そしてシネマの素敵さをひたすら愛するそんな記者役なんです。そのスタイリッシュさは十分に伝えてくれます。

 とはいえ最後に是非注目していただきたいのが、圧倒的な演技力をダンスで表現したグイドの妻、ルイザ役を演じたマリオン・コティヤールの「Take it all」。彼女はストーリーには欠かせない人物で、このナンバーで映画がグッと締まります。これは長いこと彼に嘘をつかれ、女性関係も知り、ルイザは最後の最後にとうとう愛想を尽かし彼から去っていくのですが、その怒り、残忍さ、バイオレンスの全てをこのナンバーで彼への復讐としてぶつけるのです。ここは激烈でした。

 その他にも見所のあるナンバー、女優たちの歌声、ダンスが続々と出てきますので、じっくり観たい方は今回ご紹介した以外のナンバーも是非楽しまれてくださいね。

 さて、グイドは映画「 ITALIA」を完成させることが出来るのでしょうか? ラストには2年後のグイド、彼に関わった数人の女性達の姿が描かれるのですが、果たして彼らはどのような人生の選択をしたのでしょう?エンディング・ロールには、リハの風景も映し出されるので最後までお見逃しなく! 

 おうちでの新年会のときに是非お楽しみくださいませ!


ナイン」 (DVD) 原題:NINE

おすすめ記事