アメリカのひとり暮らしに欠かせない「クレジット・スコア」の重圧

「クレジット・スコア」って何?

 こんにちは。坂東汰美です。
 
 このサバイバル日記を書き始めてからというもの、これまでのアメリカ生活の中で何かの壁が目の前に現れたときに、自分がどうやってその壁を乗り越えてきたのかを思い返しています。

 かれこれ20年もアメリカで暮らしているので、壁のようなものはもちろん何度も現れました。その中から今日はクレジット・スコアにまつわる私のサバイバル・ストーリーをお届けしたいと思います。

 クレジット・スコア、そしてクレジット・ヒストリーとは何か、みなさんご存知でしょうか。

 簡単にいうと、アメリカにおける個人のクレジットカードなどの「支払い履歴」がクレジット・ヒストリーで、それを数値化した「信用度の点数」がクレジット・スコアです。

 多額のローンをする予定のない私には、これは無縁のことだと長いこと信じて生活をしてきました。ところが、アメリカ社会においてクレジット・スコアやその履歴は、人物評価に匹敵するほど大切なものなのです。

どんな時に、このスコアが必要なの?

 このクレジット・スコアが普段の生活にかかわってくる主な事例は、たとえば……

1)家や車を購入するためにローンを組むとき
2)クレジットカードを申請するとき
3)アパートなどの賃貸契約をするとき
4)仕事に就くとき

 などが挙げられます。一般的にクレジットスコアは300点〜850点の間で数値化され、850が最高値として評価されます。

 渡米したばかりの外国人は当然、アメリカにおけるクレジット・ヒストリ―(支払い履歴)なんてありません。そのため外国人は、アメリカでクレジットカードを取得するときや賃貸契約の場面で苦労することがよくあります。

 前回のコラムにも書きましたが、大学卒業後に新卒で受けた就職面接で、「就職の経験がないこと」が理由で、就職面接に落ちたことがありました。「新卒なのに、どうやって就職の経験を得るのか?」という、まるでニワトリと卵のようなことがクレジット・ヒストリ―にもそっくり当てはまるのです。アメリカはニワトリと卵の世界だと自身に言い聞かせる必要がありそうです(苦笑)。とにかく、この壁を突破するためには、地道なリサーチと準備が必要です。

立ちはだかる壁を突破するためには……

 たとえば、アメリカでクレジットカードを取得するためには、まず銀行で自身のお金を担保にして銀行のクレジットカードを作成するという方法があります。その銀行のカードを数年間にわたって使用して、履歴の信用を築いた後にクレジットカード会社へカードを申請する、という手順をふむのです。時間はかかりますが、ここは我慢、我慢(苦笑)。

 クレジット・ヒストリーがない状態でアパートの賃貸契約をする際は、契約期間の最初と最後の月の家賃の合計2か月分を前金として支払うことを条件に、契約を成立できる物件もあるので、そういう物件をひたすら探すという抜け道があります。

 アメリカ暮らしでは、クレジット・スコアが低かったり、過去の履歴データがなかったりすると、なぜか必然的に出費が多くなる不思議なシステムが作られているように感じることが多いです。そう私が感じるのは、このことに長年悩まされてきたからなのかもしれませんが……。

捨てる神あれば、拾う神あり

 離婚を経てから、月々のキャッシュフローが追い付かないまま数年が経ち、ようやく明日のご飯を心配せずとも生活でき始めてきた頃、車の調子が悪くなりました。

 「こんなことってあるの? 金銭的な余裕がないのにどうしよう……」という事態に追い込まれて、そのとき人生初のローンをすることに決めました。

 「決めました」というのは、それは私の頭の中の話であって、実際にローンが組めるかはわからないまま、ネットで見つけた車欲しさにディーラーへ足を運んだからです。運のいいことに気に入った車はまだ売れていませんでした。早速、試乗させてもらい、持ってきた現金の頭金の額を告げて、「さあ、残りはローンを組みましょう」という話になりました。

 でも、担当してくれたマネージャーさんが奥の部屋へ姿を消したきり一向に戻って来ないのです。待たされること30分。1時間。1時間半……。

 私の他には数人しかロビーにいなかったのに、「ここは人気のあるディーラーだから、きっとすごく混んでいるんだわ」と、ひとりで勝手に思い込んで待ち続けていました。「早くこの車に乗って家に帰りたい」、「途中で夕ご飯を買って帰ろうかな」などと一人でウキウキしていたので、待たされることが悪い知らせなのかもという疑問すら全く湧かなかったのです。

 当時の私はクレジット・スコアの知識が乏しく、「私のスコアは650あるはずです」とどちらかというと張り切って、ネットで適当に調べた数値をマネージャーに伝えました。でも、実際にはその数値は正しくなかったのです。そのマネージャーさんは私のクレジット・スコアが低すぎたせいで、普通ならすぐにさっと手続きできるローン会社が一向に獲得できず、2時間以上もローン会社探しに奮闘してくれていました。

 マネージャーさんが頑張ってくれた結果、私のような低いスコアでもローンを組んでくれるローン会社がなんとか見つかり、私は無事に購入した車を運転して帰宅することができました。

 あとから知ったのですが、なんと当時の私のクレジット・スコアは600以下だったそう。今思い返すと、とても恥ずかしい思い出です。このことで、どこのクレジットスコア会社の情報が米金融機関で重要視されるかも事前に知っておく必要があると痛感しました。車社会のアメリカで、私の今の生活を救ってくれたこのディーラーのマネージャーさんには今でも感謝しています。

おすすめの記事