ファッション、そして贈物——運命に導かれるままに生きること(前編)

仕事も結婚も子育ても!家庭とキャリアの両立の秘訣とは?

 女性誌を中心に、長年スタイリストとして第一線を走り続けてきた河井真奈さん。最近ではギフト専門店「futo(ふと)」も経営していらっしゃいます。

 『Go Women, Go!』世代の多くの女性が憧れる、幸せな家庭と仕事の両立。出来そうで出来ない、女性にとって永遠の課題とも言えるその両立を、溢れんばかりの笑顔を絶やさず、バランス良く体現されている河井さん。それができる秘訣とは何なのでしょうか? 家庭と仕事の両立を絶賛実践中の方々も、今は仕事一筋だけれど、これから家庭やパートナーを得たいと思っている方々も必読です!

「天職」は思わぬところで、出会うもの?!

編集部:河井さんは、どのような経緯でスタイリストになったのですか?

 子供のころからファッションが好きで、短大時代にはデザインを学びました。でも卒業時点では、自分がどんな仕事をやりたいかを見つけることができず、映画会社に入社したんです。映像事業部というイベントのプロデューサーの下で、お手伝い的な仕事がメインでした。

 実は私、スタイリストになりたいと思ったことは一度もなかったんです。けれど、なんとなく好きなことや巡りあった仕事が、今のキャリアの下地になっていると感じます。

 具体的なきっかけは、女優の山口智子さん。彼女は学校のサークルの後輩で、当時ViVi(講談社)の専属モデルをしていました。雑誌の仕事はおもしろそうだと話したことがきっかけとなり、同誌のスタイリング・チームに入れていただけることになったんです。

 女子大生、OLを経験しているスタイリストは当時珍しく、まだスタイリストとしての経験がさほどない時から仕事のお話は驚くほど頂き、思いがけずキャリアがスタート出来てしまったんです。

編集部:それはラッキーでしたね。何かご苦労はありましたか?

 周囲の反対がありましたね。安定したOL時代と比べて、先が見えない仕事なので、周囲は心配だったと思います。私自身は不安を感じることもなく、毎日が楽しくて仕方ありませんでした。

 アシスタントを 3カ月くらいやっていると、知り合った編集者やスタッフの方たちから直接お仕事を依頼されるようになりました。自分の名前がクレジットに載るようになり、比較的早くフリーのスタイリストとして活動できるようになりましたが、忙しすぎて寝る時間もない生活だったので、「普通の女の子になりたい」というアイドルの気持ちに思いを重ねることもありました(笑)。

編集部:まさにスタイリストという仕事は、天職だったんですね。

 そうですね。「私はこれしかできないな」という思いは、仕事をしているといつも感じます。そう思える仕事に思わぬ形で出会えたことは、とても幸運ですよね。

 スタイリストの仕事で一番楽しいのは、誰かのためになっていると思えることです。雑誌のページを一から考え、スタッフも決めて、みんなでひとつの作品を作りあげ、それが世に出て、反響がある。大変なことはもちろんありますが、楽しくてしかたない仕事です(笑)。

母、妻、そしてキャリア。両立上手は、運命上手

編集部:河井さんはご主人と共に会社を設立されていますが、どういう経緯で会社を立ち上げたのですか? また、お二人はどのように一緒に仕事をなさっていますか?

 結婚したのは26歳の時で、 夫は同じ大学同じサークルの1年先輩です。 私はすでにフリーのスタイリストをしていましたが、 夫が28歳で独立することになり、一緒に会社にした方が何かと都合が良いだろうという理由で、会社を作りました。

 ただ、私はファッション、夫はゲームを専門分野としているため、まったく仕事では交わることがないんです。仕事は別々なので、オフィスや会計などを共用しているという感じです。

 futo南青山shopをオープンしてから、夫はかなり私の仕事を手伝うようになりましたが、もっと彼に深く経営に関与してほしいと思っているところです(笑)。

編集部:河井さんは息子さんがおいでですが、妻、母、プロフェッショナルの両立は大変でしたか? どのようにバランスを取られているのかを教えてください。

 私は、どちらかというとアバウトな性格なので、「子供がこうでなくては」とか、「仕事がこうでなくては」など、あまり完璧にこなそうと頑張りすぎないタイプなんです。周りから、「両立してすごいね」と言われることもあるのですが、実は、息子ができたときをきっかけに義理の母と同居して、家のことは義母がすべてやってきてくれたのです。

義理の母との暮らしが教えてくれたこと

編集部:お義母さまに上手に頼られたんですね?

 そうなんです。義母は40代で夫を亡くし、一人っ子の夫は早く結婚しましたので息子が出来るまでは一人暮らしをしていました。

 私は、可愛い息子の面倒を見てもらえて、家事もやってもらえてありがたい。
 夫は、心配だった母親が楽しそうに一緒に暮らして嬉しい。
 息子は、夜中まで働いている母はいないけれど、ばあばに溺愛されて幸せ。
 義母は息子と孫が可愛くて一緒に暮らせて幸せ。

 周囲からは「私だったら、同居は絶対無理!」などと言われることはありましたし、大変なこともあったとは思います。けれど、家族がみんな役割を持って暮らすことの素晴らしさを考えると、趣味が合わないとか、世代のギャップがあるとか、そんなことどうでもいいと思うようになりました。

編集部:お姑さんと上手くいく秘訣は何だと思われますか?
 
 私の場合はいずれ義母と暮らすという覚悟が最初からあったので、最初からいい子ぶらなかったんです(笑)。お姑さんの前で猫を被るのは自然なことなのかもしれませんが、あえていつもの自分以上にナチュラルに接していたので、一緒に暮らした時に無理がなかったんです。

 また、自分のことばかり考えず、相手の気持ちに寄り添うと、おのずといい答えが出てくるのではないでしょうか。

 実はそんな義母が今年1月に他界……。義母のありがたみが身に染みています。今は、自分で家事全般をしなくてはならなくなったことで、自分が支えてもらっていたことの大きさにも改めて気づくことが出来ました。とても彼女が恋しいです。

編集部:そうなんですね。いずれにしても完璧を目指さない、上手に人に頼ることなどは、現代女性の公私の両立に欠かせないキーワードかもしれませんね。

 そうですね。がんばる女性は素敵だけれど、がんばり過ぎないで欲しいなとは思います。仕事でも、家庭でも、笑顔を忘れないことって大事だと思うんです。自分が笑顔でいることで、仕事相手との関係もたいていは上手くいきますし、子供の前でも優しくいられます。誰だって、笑っている人との方が、心が開けるものですよね。これはよく考えれば当たり前のことだとは思うのですが、現代女性は総じて忙しく、余裕がない状況に強いられることも多いでしょう? 働き盛りの女性だからこそ、ストレスを上手に発散して欲しいなと感じます。

===後編に続く===

河井真奈さんのプロフィール

 ファッション&ギフトスタイリスト。長年、女性ファッション誌を中心に活躍し、バランスのとれた鋭い目利きでモデルや女優をはじめ、多くの女性たちから幅広い支持を得ている。近年では企業向けのアドバイザー、百貨店などの顧客のためのスタイリングも手がけている。エレガントで上品なスタイリングに定評があり、今秋からはパーソナル・スタイリングのメソッドも立ち上げる予定。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋刊)、服を整理すれば、部屋の8割は片付く(立東舎刊)。小学館Precious webの「ジャパンラグジュアリー、ゼクシィWEB MAGAZINE「今月のWeddingギフト」でも絶賛連載中。

futo公式HP:  https://futo.jp/  futoインスタグラム:futoofficial
河井真奈インスタグラム:kawaimana78

イベント情報: SIXIÉME GINZA(GINZA SIX 2階)〜7月21日まで、日本橋三越本店3階ミグジュアリー(8月4日から17日まで)でポップアップイベントを開催。詳しくはfutoホームページをご覧ください。

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