保育園を探さなければ!

なんとしても保育園を探さなければ

 太郎くんが何度も我が家にお泊まりして、お互いが徐々に慣れていく「交流期間」も終盤に差し掛かかった頃、私たちは保育園探しに本腰を入れ始めました。2泊3日のお泊りも残り数回。それが終了すれば、太郎くんとの生活が始まるのです(これまでのお話はこちら)。

 私たち夫婦は共働きなので、太郎くんとの生活が始まったら保育園にお世話になる必要がありました。児童相談所の担当者から保育園の申し込みについての指示は受けていましたが、正直どこから始めてよいのか分からない状況でした

 太郎くんとの交流が始まって以来、平日の夜は毎日のように太郎くんを我が家に迎えることに関する情報をインターネットで集め続けました。保育園は役所へ必要書類を持って行って申し込むということは分かりましたが、「保活」や「待機児童」という言葉がニュースなどで話題になっているのを聞いて、焦りも出てきました。

 焦りを感じながら、保育園ごとの受け入れ対象の子どもの年齢や人数、開園時間、延長保育の有無、住所等の情報が掲載されている一覧表を読んでいるうちに、「私たち二人で、ちゃんとできるのだろうか……」と、だんだん自信もなくなってきました。夫婦それぞれが働いているのに、毎日夕方にお迎えに行けるだろうか? 毎日会社を早退するわけにはいかないし、勤務時間を短縮できる制度や育児休暇制度などは戸籍上の子供でなければ利用できないと聞いているし……。

 「あー、こんなの無理かも! なんで誰も教えてくれなかったの?!」 と、様々な不安が頭の中を駆け巡りました。

里親と実子は規定が異なると言われても……

 私が保育園へ通っていた時は、毎日必ずおばあちゃんが送り迎えをしてくれました。でも、太郎くんにとってのおじいちゃん、おばあちゃんにあたる私の両親は遠方に住んでいて簡単には頼れません。

 「おばあちゃんが私にしてくれたように、これからは毎日、私か夫が太郎くんを送り迎えするんだ。どうやればできるんだろう……」。

 夫婦がそれぞれの仕事を続けながら、どうすれば時間的にも距離的にも太郎くんの送迎が可能か、とにかく熟考する必要がありました。

 そこで私は保育園一覧表をみながら、自分の通勤経路上にある保育園の名前を書き出し、各保育園の詳細情報やネットの口コミを読んで、最終的に自宅近くにある保育園を4園、絞り込みました。その後、申し込み書類等を準備。私の職場から発行してもらわなければならない書類は即刻申し込み、書類が発行されるやいなや職場に時間休を申請して、役所へ保育園の申し込みに行きました。

 役所では、右も左も分からない私に担当者がとても親切に対応して下さり、我が家の状況(就労形態、勤務時間、職種、自宅と職場との距離等)を元に「おすすめの保育園」を提案してくれました。運良く、その保育園に空きがあったので、私は迷わずその場で申し込みました。

 その申し込みの際、私は担当者に「我が家は里親として、子どもを保育園へ預けます」と付け加えました。すると、担当者はこう言ったのです。

「公立の保育園では、里親さんの場合、保育料は無料です」

 それを聞いた私はとても驚いたと同時に、「えっ、なぜ?」と思いました。そして、その親切な担当者にまるで食って掛かるような勢いで、こう言い返しました。

 「おっしゃっることが理解できません。私たちは里親ですが、我が家に迎える子どもを我が子として育てていくつもりです。実子ならば、保育料は無料ではありませんよね? それなら私たち夫婦も、里親だからとか、我が家で生活する子どもは実子じゃないからという特別扱いはしてほしくありません。私たちも皆さんと同じように保育料を支払うのは当然です!」

 私にすごい勢いでこう言われた担当者は、「あんたの言っていることの方がよっぽども理解できないよ」というような表情を見せながら、「子育て支援関連の規定で、そのようになっておりますので……」と言ってから、こう続けました。

 「おっしゃることは理解できますが、これは特別扱いでも何でもありません。規定は規定なので、私のような役所の一担当者がそれを変えることはできません。ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんが、保育料が無料という事実を素直に受け入れていただけませんでしょうか?」

悶々としていても何も始まらない!

 私はスッキリとした気分にはなり切れないまま役所を後にして、職場に向かいました。道中、車を運転しながらも役所で言われた「里親だから保育料が無料になること」が納得いかず、しばらく悶々と考え続けていました。

 そのうちに、「このまま悶々としていても先に進めないな」と思い始めました。いつまでもスッキリしない気分でいても何の得もありません。保育園に入れないと悩む親も大勢いるとニュースでも言っていたし、自宅から徒歩圏内の保育園に空きがあったなんて、とても幸運なことなはず……。おまけに保育料は無料だというのです。

 「こんなに良い条件だからこそ、これから夫婦二人だけでもやっていけるのかもしれない。これがなければ、もしかしたら、どちらかが仕事を辞めなければいけなかったかもしれないし……。なんだか役所の担当者に食って掛かって申し訳なかったな。大人げなかった……」と、私は反省モードに入りつつ、その夜、自宅で夫にこの日に起きたことを報告しました。保育料については夫も驚いていましたが、とにかくこれから二人でやるべきことについて、さらに話し合い、翌日には児童相談所にも保育園が確保できたことを報告しました。

保育園に持っていく、あれは何?

 この日から、私なりの入園準備が始まりました。まず、太郎くんが通園する予定の保育園の周辺を通った際には、「子どもたちはどのような服装をしているか?」、「送迎する親たちは、どんな荷物を持っているか」等を観察してみることにしました。

 すると、お迎えに来たあるお母さんが、とても大きな平たい袋を肩から下げているのが確認できました。「あれは一体、何だろう?」と考えても、私の頭の中は、はてなマークだらけです。数分間じっと考えて、ようやくそれがお昼寝用の布団だと気付きました。ということは、私もそれも用意しないといけないということです。

 「準備するものだらけだなあ……」と、少し不安に感じながら、気持ちを新たにしました。

 数日後、保育園の入園決定と通園に関する内容の手紙が届いたので、指示通りに保育園へ電話をかけました。入園にあたり、園指定のかばんや帽子等の購入や、家から持参するものの説明を受ける必要があるとのことだったので、その週末に保育園へ出向き(土曜日も対応してくれる保育園でよかった!)、職員さんとリストを見ながら、ひとつひとつの項目を確認していきました。

 そのリストの最後の項目が件の「お昼寝用の布団」でした。でも職員さんに「太郎くんが入る年長クラスにはお昼寝はないので、布団を準備する必要はありません」と言われ、「保育園に確認してから準備を始めることにして良かった」と少し安堵しました。

 そして、その翌週には職場の上司にも「我が家の事情」を話し、子どもを家に迎えるための準備を着々と進めていきました。ですが、まだまだ準備は続きます。次回もお楽しみに!

<前回までのお話>

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