とうとう彼に会いに行きます!

ドキドキの初対面。何をすればいいのかな?

 そして2週間後、太郎くんが暮らす児童養護施設へ私と夫とで出向きました(前回までのお話はこちら)。

 初めて児童相談所や乳児院へ行った時と同じように、「児童養護施設って、どんなところなんだろう~?」と、キョロキョロしている自分がいました。外観も内装もとてもきれいな建物だったため、第一印象は「児童養護施設ってきれいなところだな~」でした。後から、この施設に一番長く勤務されてる職員の方が、「この児童養護施設は建て替えしてからさほど時間が経っておらず、建て直す前はとても古い昭和初期頃の木造校舎の様な建物だったんですよ」と教えてくださいました。私が通った小学校には木造校舎があり、私はそこで1学年過ごした経験があったので、古い木造校舎がどんなものかがすぐにピンときました。

 児童養護施設は、おおむね2歳から18歳の子どもたちが生活しているため、子どもの年齢層に大きな幅があります。そのため、太郎くんが生活していた児童養護施設では(おそらく、全国にあるほとんどの児童養護施設にてそうだと推測しますが)、幼児(未就学児)、小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生と子どもの年齢別、かつ小学校高学年からは年齢別に加えて男女別に生活する部屋が分かれていました。

 当時太郎くんは幼児だったので、太郎くんの養育を担当する職員さんが、私と夫と児童相談所の担当者を幼児たちが生活する部屋へ通してくれました。そこは大部屋で日当たりが良く、室内には子どもたちが寝る小さなベッドがいくつも並んでいました。大きなお風呂、調理室、食事をしたり遊んだりする場所、外には子どもたちが遊べるほどよい大きさの庭がありました。「へ~、こういうところで生活しているんだ~」と、児童養護施設がどんなところかという謎が自分の中で解けたのを今もはっきりと覚えています。

はじめて太郎くんと会えたけれど……

 この日は天気が良かったため、児童相談所の担当者と児童養護施設の職員さんたちが、外で遊びながら交流することを提案してくださいました。 

担当者:「今、あの木のところにいる子が太郎くんです。」

その場には、太郎くんの他に同じ部屋で生活する子どもたちが十数人ほどおり、私と夫は太郎くんとお近づきになりたかったので、進んで話しかけたり、一緒に遊ぶように促したりしたのですが、太郎くんは終始「我関せず」といった態度。他の子どもたちは、新しい大人が遊びに来てくれた~!と言わんばかりに、「ねぇ~、一緒に遊ぼ?」としきりに私たちのそばに来て遊びたがりましたが、私たちの本音は、「なるべく太郎くんと多くの時間を過ごしたい」でした。そんな気持ちを抱えながら、太郎くんとも他の子どもたちとも小一時間程、庭遊びをして過ごしました。  子どもたちの笑顔に見送られながら幼児の部屋を後にし、別室にて児童相談所の担当者から今後は以下のような流れになるとの説明を受けました。

1)太郎くんが生活する児童養護施設にて、太郎くん、施設の職員、私たち夫婦にて数時間の交流

2)児童養護施設にて、太郎くん、私たち夫婦にて数時間の交流

3)児童養護施設の外へ数時間のお出かけ

4)我が家へ日帰りの訪問

5)我が家にて1泊2日のお泊り

6)我が家にて2泊3日のお泊り

7)我が家にての生活を開始(生活の場を児童養護施設から我が家への「措置変更」)

それに加えて以下の説明もありました。

●基本的に交流は週末に行う。週末に対応が難しい場合は、平日が祝日の日に交流をすることも可能。
●お互い徐々に慣れていくという意味で、初めのうちは隔週等、間隔を空け、最終的には毎週末に行う。
●交流を重ねるという意味で上記1~7が各1回で終了する場合もあれば、複数回を繰り返す場合もある。
●ところどころで児童相談所の担当者との面談を入れていく。

これらをもとにして、私たちのスケジュールと太郎くんのスケジュール(児童養護施設の行事がないか等)、そして児童相談所の担当者のスケジュールを照らし合わせ、向こう数カ月にわたる交流日と面談日を決めました。私は自分のスケジュール表を見ながら、「忙しくなりそうだなぁ~」と思うと同時に、ちゃんとできるだろうかという不安がよぎりました。

私はちゃんと対応できるのだろうか?

 そんな風に考えていると、児童相談所の担当者はこう続けました。

担当者「数か月後には太郎くんと一緒に生活し始めるのですから、今から保育園探しを始めても早過ぎないですよ。」
「そうなんですね、すぐにでもそうします……。」

 しかし、そう答えたものの、「保育園ってどうやって探すんだろう? 探したら申し込みもしなくちゃ。私も子どもの頃は保育園に行ったけど、その経験は役に立たないよな……。」と頭の中でいろいろ考えてみました。

「確か、私の保育園は公立だったなぁ。と言うことは、役所のどこかの部署が申し込み先? うーん、よくわかんない~」と、私にとっては、またまた未知の世界のことに直面しました。この時にはまだ、太郎くんとの交流や太郎くんと一緒に生活をしていく中で、自分が子どもだった頃のことを思い出しては、それらがヒントになり、「私にとっての未知の世界における課題の対処法」になるとは、知る由もありませんでした。

 正直、これら全てのことが私にはとんとん拍子で進み過ぎているように感じ、「私は本当に対応出来るのかな?」と不安な気持ちが増していきました。だからと言って、このスケジュール感が早いのか、普通なのか、遅いのかと判断する知識が自分の中にはなく、言われた通りに動く以外、他に方法がありませんでした。

 また、「この他にも、やらなければいけないことがあるのかな……。もしそれが、平日の昼間にしか窓口が開いていないところに行く必要があるとなると、仕事を休まないといけないな……」等と、ない知恵を絞って考えていました。

 この不安な気持ちを完全には消せないまま、お庭遊びをしていた時の太郎くんが私たちに「我関せず」といった態度がとても気になっているという状況で、太郎くんとの交流が本格的に始まろうとしていました……。

 次回もお楽しみに~!

前回までのお話はこちら

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