アメリカのパーティーで気をつけたいこと

避けたい話題といえば

 こんにちは、板東汰美です。今回はアメリカでちょっとした集りやパーティーに呼ばれたときに気をつけたいことを、私の経験をもとにお話ししますね。

 多種多様な人種が集まるアメリカでは、人と集う機会も多いですが、そのときには何を話したらよいのでしょう? 日本の伝統的なしきたりを重んじる会のように、決まった作法があるような会はアメリカではほとんどありませんが、一般的には政治と宗教の話は避けた方が安全だと言われています。このふたつは人によって様々なため、意図せずに相手を不快にさせてしまったり、口論になってしまう可能性が高い話題だからです。政治集会や教会のミサなど、集まる目的がそれならば別ですが、よほど親しい相手でなければ避けたい話題です。

 もうひとつ避けたい話題は、相手の外見へのコメントや個人情報に触れる質問を投げること。これを日本からの出張者や旅行者に指摘すると、「褒めてあげているのに、なんでダメなんですか?」と立腹されることもありますが(苦笑)、納得がいかなくても、小太りの人に対して「大きいですね」とか「たくさん食べるのでしょうね」などと言ったり、既婚未婚や子供の有無など相手のプライベートに関する質問はやめましょう。

 アメリカ人の文化背景はとても多様なので、あなたが気軽に投げた質問の回答があなたの想定とはまったく異なるかもしれません。それでも、あなたは笑顔のまま話を紡げることができるでしょうか? もし、その自信がないならば、その質問は投げない方が安全です。パーティーの場では、あなたのその質問やコメントが、相手の立場によっては、どう受け止められるかを考えてから発言しましょうね。

あなたは何をしているの?

 ビジネス系の交流会やグループランチの席など、「初めまして」と挨拶をすることが多い集りでは、「あなたは何をしているの?」と聞かれることがあります。それは、「どんな仕事をしているのか?」と、いう意味なので、

「エンジニアです」
「会計士です」
「事務職です」

などのように答えると、相手は「どんな業種のエンジニアなのか?」というように会話が展開していきます(社名ではなく、どんなタイプの仕事かという意味)。挨拶の時点では、相手からあえて詳細を聞かれない限り、できるだけさらっと答えるのがスマートです。仕事(会社関連)の会でなければ、わざわざ社名は名乗らないのが一般的です(googleのシニアエンジニアですとか、アマゾンのクラウド部署の管理職です、などとは言いません)。

 「今日はなぜ、この会に参加したのですか?」とか、「この会場の建物は歴史があるらしいですよ」とか「このお酒、とても美味しいですね」というような世間話から始まることもあります。世間話も一通り済んで、そろそろ話を終わらせて、他の人と話そうかなという頃になってはじめて、「ところで、どんな仕事をしているのですか?」とか、「ところで、私はXXと言います。あなたのお名前は?」という展開になることもあります。何かの集まりでお会いした後に親しくなる人たちの多くは、不思議と名前や職業を会話の後半で明かした人たちが多いのです。他愛もない世間話で盛り上がったから、気が合うことが分かったかもしれないですね。

 私は日系企業で働いていますが、職場関連の日本人の方々を見ていると「△△会社の〇○部署で〇〇のマネージャーのうんぬん」と、自分の名前を名乗る前振りが「長~~い!」って、いつも思います(笑)。初対面の相手が知りたいのは、あなたの社名と肩書きではなく、人となりです。こういう場面に遭遇するたびに、会社名を言わずに自己紹介ができないんだろうなあと残念に思います。会社概要は後でネット検索をしてもらえばわかること。パーティーでは「自分はどんな人か、何をする人か」を知ってもらえる機会ですから、それを伝えないともったいないと思います。

ポットラック・パーティーに呼ばれたら

 アメリカのカジュアルな集いで、よくあるのがポットラック形式(料理を持ちよる形式)の集まり。指定されない限りは、お店でテイクアウトしたものでも、手作りでも良く、最低1品テーマに沿ったメニューを持っていくことが一般的です。

 BBQならば、メインの肉、サイドディッシュのポテトサラダなどが振り分けられたり、米独立記念日だったらデザートのパイだったり、赤白青色のお菓子だったり……。ここで大事なのは、必ずゲスト人数を聞いて、そこを意識した量を持っていくことです。ひとつのカテゴリー(たとえばデザート)を複数人で担当することもありますが、もしひとりで担当するなれば、例えばゲストが30人ほどだったら、ホールケーキなら2個、チップスなら大3袋、ビールなら1ケース(24本)などです。特にお酒は自身が飲む分は、持ち寄り分とは別に持っていくことを心掛けるのはとても大事。自分が持ってきた本数よりも自分が飲んでしまうと、残念な印象が残ってしまうので(笑)、酒豪の方は特にお気をつけください(笑)。

 誰かのご自宅でのこじんまりとしたランチやディナーに呼ばれるときには、私はブーケやアレンジメントを作るのが好きなので、花とテーブルワインを持っていくことが多いです。値段が高いものを持っていく必要はないので、カンバセーション・ピース(Conversation Piece)となるもの、つまりそれによって会話が弾むものを意識するといいかもしれません。たとえば招かれる家の方の大好物、好きな花、好きな色、なかなか手に入らないもの、季節もの……。そんな感じで持参するものを考えていくと楽しくなります。私は海外アーティストが好きな友人に、そのアーティストのメンバーが作っているワインを探して持参したら、とても喜ばれたことがあります。

パーティーで食べ物をいただくタイミング

 集いには、いろいろな人が来ます。自分がや親しい友人が主催するものや、連れていくゲストを選べないイベントなどもありますが、大きな会のとき、私は当日会場に足を踏み入れるまでものすごく緊張します。会場の手前まで行って、やっぱり帰ろうかなと思うこともあります(苦笑)。そんなときは、気持ちを集中させて「よし、今日は何人と話すぞ」などとプチ目標を立てて挑むようにしています。でも会場に入ると、不安な気持ちはなぜかふっとんでしまうので、いつも「あの緊張感は何だったのか」と思うのですが、それでも緊張するんです。

 そして、私の緊張を吹き飛ばすくらい、たいていの大きなパーティーには「どうしても気になるタイプの人」がいます。それは、食べ物テーブルに張り付いている人です(笑)。イベントの間中、ずーっと食べていて、他の人が近づけないくらいの位置で陣取り、食べ物テーブルに張り付いているような人。シャイなのか、お腹が空きすぎているのか分かりませんが、周りは引いています。

 私も以前は、どのタイミングで食べ物をどのくらいお皿に盛ったらいいか、いつ食べたらいいかがわからず、しばらくは食べ物テーブルには近寄らない時期もありました。人と話すタイミングなどもわからずじまいの日々がしばらく続いていたある日、仕事絡みのネットワークイベントであまりにもおなかが空き過ぎて、営業は後回しでまずは食べよう!ボスもいないし!とお皿にたっぷり載せてバクバク食べていたら、「食べっぷりがいいね」と話しかけてきた優しい人がいました。結局、その人と話しながら、お食事の時間(笑)は過ぎていったのだけれど、その人は少しずつお皿に食べ物を乗せて、なくなったらまた取りに行くので、私はその人について行くことを繰り返しました。なるほど、ちょっとずつ移動しながら、飲み物とってこよう、とか、また〇〇を取りにいこうとか、会話の流れの一部として動くこともアリなんだなと学びました。

 ポットラックでも、食事会でも、レセプションでも、食べ物が絡んだ時の人の行動や言動って性格がでるなあと思います。会場で「ひたすらバクバク食べているキャラ」にはならぬように気をつけながら、これからも様々な集まりを楽しんでいきたいと思います。

おすすめの記事