41歳で金髪デビュー!
イギリス人生パンク道

九州出身で英国在住歴23年、41歳で二児の母、金髪80キロという規格外の日本人マルチメディアアーティスト大渕園子が、どうすれば自分らしい40代を生きられるかを探してもがく痛快コラム。40代はあと9年。果たしてそれは見つかるのか?!

41歳の決意を胸に、いざ!

 昨夏、私は金髪デビューを果たした。40代の私の金髪と若者の金髪とはインパクトがかなり異なるが、分かった上でやったことだ。

 それは旦那との些細なケンカから始まった。旦那のちょっとした発言が許せなかった私は、彼が謝罪したにもかかわらず翌日まで怒りを持ち越し、なんとか仲直りを乞う旦那にこう言い放った。

 「ちょうど美容院に行きたかったから、その代金を払ってくれるなら許す」と。

 イギリスの美容院は物価高騰も相まって、私にとってはかなり高額だ。我ながら呆れるほど幼稚で理不尽な提案だったが、「それで気持ちが晴れるなら」と旦那は喜んで了承した。

 旦那との些細なケンカで手に入れた美容院1回無料券。そうなると、さらに欲が出た私。さて料金のことを気にせずに美容院に行けるなら、どんな髪型にしよう? せっかくだから色も染めてみるか? 自分で支払う時には出てこない様々な選択肢やオプションを夢描き、そして決めたのだ。

 「よし、金髪にしよう!」

 今はイギリス北部の田舎に住んでいるが、2年前まではロンドンで21年ほど暮らしていた。ロンドン時代は美容院には年に1度しか行かないほどずぼらで、髪にお金なんてかけなかった。茶色に染めたことはあったけれど、ブリーチを要する明るめのカラーには手を出したこともない。長い間、私を担当してくれていた美容師さんは私がどれだけずぼらかを周知してくれていたので、私が明るい色を提案しても、私にはメンテナンスの難易度が高すぎるとやんわり諭して留まらせてくれた。よってブリーチとは無縁の人生を送ってきたのである。

 だから私は知っている。もしも金髪にしたら、これからは2カ月に一度は美容院へ通わなければならない。それができないと、私はこれから数年間に渡ってプリン頭(生え際が黒く毛先が金髪)という宿命を背負って生きていくことになる。ある意味、人生の賭けである。

 でも、決めたのだ。「今やんなきゃ一生やらない! 41歳金髪上等!」

 私の金髪への意思は固まった。そして、この計画のことは誰にも伝えず、私は美容院を予約した。

うひょ!これが私?!

 当日、美容師から私のようなダークな髪色から金髪にするには数時間かかるだろうと言われた。そしてブリーチが始まり、液を浸透させる。頭皮のヒリヒリは強烈だったが、それも金髪の洗礼と耐え凌いだ。その後、色調整を経て開始から4時間後、私の金髪は完成したのである。

 「うひょ!」  これが私の第一声だった。鏡越しに見た自分の肌より明るい髪に覆われた私の顔は、違和感がすごくてぎょっとした。でも、すごく清々しくて「やったった。あはは」という感情が湧き出た。

 早速、写真を撮って旦那に送ると、彼は私を気遣ってか「いいね、似合ってるよ!」と返信してきた。でも、帰宅して子供たちにお披露目したら、息子は「お母さんは黒髪がいい、金髪はいやだ!」と言った。複数の友達にも写真を送ってみた結果、家族や友達の反応は賛否で言えば半々だった。

 でも私はと言えば、まるで生まれ変わったようなトキメキと共に、日に日に自分の金髪が好きになっていった。

 日本ではわりと「規律は守る、いい子」として生きてきた私には、金髪は遠い世界の話だった(当時は浜崎あゆみやglobeのKEIKOがブリーチヘアのイケている女性だった)。そんな私が40代で金髪にしたのだから、世間的に見ても結構パンチが効いていると思う。初対面の人には、それなりの異物感を与えるかもしれない。

 でも金髪にしたことによって、「自分はこんな感じです夜露死苦(よろしく)」と、繕うことなくありのままの自分で人と繋がっていけるようになった気がする。肝が据わったのだ。仕事でも積極的にクライアントの方々と意見が交わせるようになったし、表現者としての自分にもっと自信が持てるようになった。今では「金髪が私にアーティストとしてのアイデンティティをくれたのではないか」とまで思っている。

金髪のメリット・デメリット

 金髪にしてよかったことは、多々ある。似合う洋服の色が圧倒的に増え、アイシャドウも黄緑やネオンパープルなど、かなり遊べるようになった。洋服やメイクに気を遣い始めたら日常にも張りが出て、それがいろんなところに派生していった。

 まず、自分の心身を労り、整えていきたいと思うようになった。ずぼらだった私が肌に気を遣い始めたり、リンパマッサージを家でやったり、前よりもほんの少しだけれども体にいいものを選んで食べるようになった。こんなことは今までなかったので自分でも驚いた。

 金髪にしたことで、白髪も姿を消した。「もう40代だし、白髪だって生えるよ」と受け止めていたが気にはなっていたので、白髪が消えたことで自分の中の「もう40代だし」という言い訳も消えていった。

 金髪にしたデメリットがあるとするなら、それはお金が飛んでいくこと。金髪にしてから今まで4回は美容院に行っているが、毎回3万円以上かかっている。これは私にとって大きな出費だ(汗)。

 でも、金髪は自分への投資だ。なぜ、こんなことが投資と言えるのか? それは「人はいつからでも、どこからでも人生を変えることができる」ということを身をもって知ることができたから。

 40代で金髪デビューするなんて思ってもみなかったが、たった4時間でそれは実現された。見た目だけの変化と言われればそうなのかもしれないけれど、金髪にしたことが私の内面や意識をごっそり塗り替えた。自ら大変化を起こすことは人生においてもすごく大事だと思う。だから、これからも私の人生には無縁だと思っていることを、多少お金がかかったとしても取り込んで、変化を恐れずに40代を進んでいきたいと思う。

大渕園子公式サイトバナー



おすすめの記事