「外食」の認識に見る、日本とアメリカの違い

外食が異常なほど高くなったアメリカ

 こんにちは、ランサムはなです。日本はシルバーウィークで秋を満喫している方も多いのではないでしょうか。私事ですが先日誕生日を迎え、友人や元教え子たちにレストランでお祝いをしてもらいました。このところアメリカではインフレがひどく、外食もめっきり高くなっているので、レストランに行くのは本当に久しぶりで嬉しかったです。

先日、ニューヨーク在住の日本のタレントさんが日本のテレビ番組の中でニューヨークの物価高について説明し、「ラーメン一杯5000円」と伝えたところ、日本の人たちに驚かれていたそうですが、物価高はニューヨークだけではありません。インフレはアメリカ全土に及び、私が暮らすテキサス州の田舎でも、ラーメンは一杯14ドル(2,000円)ぐらいします。シアトル在住の友人によると、シアトルでは平均して2,200円くらいだそう。しかも、これはラーメン一杯の料金であって、ここに税金(10%)とチップ(18%以上)が加わるので、ラーメン一杯で3,000円近くかかるという計算になります。

「庶民の味」であるはずのラーメンが、3,000円以上も払わないと食べられないアメリカ。ワンコイン・ランチとか、飲み物がついて1000円の定食なんて、アメリカでは夢のまた夢です。

「でもアメリカはその分、給料が高いでしょう?」と、おっしゃる日本の方がとても多いですが、それは敏腕弁護士や医師や米有名大企業にお勤めしているトップ数%の方々の話であって、アメリカでも自営業やフリーランスの収入は日本とほとんど変わりません。ですからアメリカでは外食があまりに高額なので、日本のように気軽に「ランチおごってあげる」とか「今度、ご馳走してください」とは言いにくい状況になっています。もはや「外食は庶民には手の届かない、特別な行事」になってしまったようにも感じられます。

働くお母さんを助ける選択肢のひとつがテイクアウトごはん

 このような物価高に見舞われるまでは、アメリカの家庭では外食やお持ち帰り食(テイクアウト)はとても身近な存在でした。週の半分ぐらいは外食や持ち帰り食を夕食にする家庭も少なくなかったと思います。そもそも夫婦共稼ぎがデフォルト(初期設定)のアメリカでは、「料理はお母さんの役目」という意識が希薄です。

日本では、「母親の手料理が一番」という概念が強く、主婦が出来合いのお惣菜を食卓に並べることに罪悪感を覚える傾向があると感じますが、アメリカでは外食や持ち帰り食は、働くお母さんを少しでも楽にするための「選択肢のひとつ」だと考えられています。仕事帰りにレストランに寄ってテイクアウトごはんを買うときに、車で駐車場に乗り付けて車内で待っていると、レストランの従業員が包みを車まで持ってきて、そこで精算も済ませられる「カーブサイド・ピックアップ」もよく見かけます。全米チェーンのレストランにはカーブサイド・ピックアップ専用駐車場もあるほど定着しています。

「母親=手料理」という概念が日本に比べて希薄なせいか、アメリカでは外食や持ち帰り食が続いても罪悪感を覚える母親はほとんどいませんし、料理をしない母や妻が引け目を感じることもありません。料理はしたい人がすればいいと考える人も多く、普段料理をしない母親がたまに手料理をふるまうと、それがどんなに簡単な料理でも(日本の感覚からすると)大げさに感謝します。日本人の私には、アメリカのお母さんは相対的にかなり楽をしている(ように見える)ので、キャラ弁など凝ったお弁当作りにも全力投球している日本のお母さんたちの話を聞くと、本当に頭が下がります。

とは言え、最近は外食やテイクアウトも値段が高くなったので、アメリカでは趣味と実益を兼ねて自宅で料理を作ったり、パンを焼いたりする人も増えているようです。自家製のパンやお菓子、手作り料理をSNSに投稿している人が多くて、びっくりしています。

母親の手料理にこだわらずとも、食育は大切

 アメリカで手料理と言えば、35年前に初めてアメリカ留学をしたときにお世話になったホストファミリーが思い浮かびます。

先日、そのホストファミリーに奇跡的に再会する機会がありました。とても裕福な医師の家庭で、私にも常に気遣ってくださり、グルメで料理好きだったホストマザーはシナモンレーズンブレッドを焼いてくれたり、様々なこだわりの手料理をふるまってくれました。また、家族で外食をされるときには、ベトナム料理やアメリカ料理、メキシコ料理、フルコースのフレンチなど様々なレストランに私も連れていってくださったことをよく覚えています。

ホストファミリーだったご夫婦は残念ながら他界されましたが、当時6歳だった次男は現在41歳で、2児の父親。お父様の後を継いで医師になったのかと思っていたら、レストランでシェフとしてステーキを焼いており、長男も料理学校を卒業して高級レストランの運営会社で働いているということでした。兄弟2人とも医師ではなく、料理の道に進んだのは興味深いなと思います。

このような話を聞くと、「お袋の味」へのこだわりはそれほどでもなくても、幼少時の食育が生涯に影響を及ぼすことは間違いなく、それはアメリカも日本も同じなのだなと実感しました。

ランサムはなのワンポイント英語レッスン

アメリカではお持ち帰りは「Takeout」、イギリスでは「Takeaway」
アメリカではお持ち帰りを「Takeout」と言いますが、イギリスでは「Takeaway」です。お持ち帰りを提供していないレストランは少ないため、お店に行くとまずは「Is this for here or to go?」(店内で召し上がりますか、それともお持ち帰りですか)と聞かれます。店内で食べるときは「for here」、持ち帰りのときは「to go」と答えます。なお、日本で見かける「イートイン」は和製英語なので、英語圏では使いません。


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