やりたいことがあるなら今やろう!「世界一周、親子旅」#18

ついにアフリカ大陸の旅がスタート!

 こんにちは! 家族4人で世界一周旅を続けているMimiです。南アフリカで無事にキャンピングカーを受け取り、ついにアフリカ大陸の旅が始まりました。今回は南アフリカで最初に訪れた街、ケープタウンで感じたことついてお伝えしたいと思います。

 約3年間も旅したアメリカ大陸に別れを告げ、やってきたのはアフリカ大陸! 南米アルゼンチンのブエノスアイレスの港でキャンピングカーを見送ってから、私たち家族は一足先に空路にて南アフリカに到着しました。キャンピングカーの到着予定地は南東部のダーバンという街でしたが、船による輸送は3週間ほどかかるため、見どころの多い南西部のケープタウンから旅を始めることにしました。

ケープタウンの光と闇

 キャンピングカーの到着を待っている間、ケープタウンには2週間ほど滞在しました。ケープタウンは南アフリカの南西部ケープ半島にあり、ヨハネスブルクに次ぐ南アフリカ第二の都市です。ダイナミックな山々と美しい海に都会が融合した景観が特徴的な街で、南アフリカの人気観光地としても有名です。初めて訪れたケープタウンは、私が抱いていたアフリカのイメージとはまるで違い、洗練された街並みに欧米風なスーパーマーケットやレストランが立ち並び、その便利や快適さに驚かされました。

 ただ、そんな便利で快適で、美しい海岸線を一望でき、セキュリティー設備が備わった豪邸や整備された街並みがあるエリアの住人は白人がほとんどです。施設を経営したり、利用する人は白人で、雇われているのは黒人——。  それもそのはず、南アフリカは白人と黒人を分割するアパルトヘイトと呼ばれる人種隔離政策を行っていた国です。1991年にアパルトヘイトは撤廃されましたが、その痕跡はいまでも根強く残り、白人と黒人ではいまだに住む場所も職業も、使うスーパーやレストランもすべて違っていました。同じ人間なのに、これほどまでに差をつける必要があるのかと考えさせられました。

世界旅ケープタウン風景
テーブルマウンテンとケープタウンの街並み

 ケープタウン滞在中には頻繁にUber(アプリ配車サービス)を利用したのですが、運転手は黒人ばかりで、南アフリカ出身者だけでなく、ジンバブエやナイジェリア、ソマリアなどから出稼ぎに来ている方々もいました。明るく気さくな方が多くて、アフリカのことをいろいろ話してくれました。その中で印象的だったのは、ケープタウンにあるタウンシップと呼ばれるスラム街出身の運転手の話です。白人たちの豪邸とは違い、掘立小屋が所狭しと並ぶタウンシップには、アパルトヘイト時代から今も多くの黒人たちが住み、ギャングの抗争や麻薬のやり取りが後を絶たないそうです。

 タウンシップで、ギャングたちは12歳以下の幼い子どもに犯罪や殺人をさせる——なぜなら子どもは犯罪や殺人を犯しても、重い罪にはならないからだそう。しかし、その子どもは一生、犯罪者という扱いを受けてまともな人生を送れず、また犯罪に手を染めるという負の連鎖が続いてしまうそうです。また貧困家庭の中には、食事にも寝る場所にも困らないからという理由で、わざと子どもに犯罪をさせて刑務所に入れる親もいるとか。地元を知る運転手を通して、ケープタウンの光と闇を垣間見る話を聞き、衝撃を受けました。

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ペンギンがいるBoulders Beach

ネルソン・マンデラが収容されていたロベン島へ

 ケープタウンからフェリーで約30分の場所にあるロベン島(Robben Island)にも行きました。ロベン島は、アパルトヘイト撤廃に尽力したネルソン・マンデラが政治犯として収容されていた刑務所があった島として知られています。

 現在はアパルトヘイトの歴史を学ぶ観光地となっていて、その刑務所を見学できます。マンデラは、反アパルトヘイトの軍事組織を作って主導したことで逮捕され、27年間もの長きに渡って獄中生活を送りましたが、そのうち18年間をロベン島で過ごしたそうです。

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ロベン島の刑務所内を見学

 刑務所内を案内してくれたガイドさんは、なんと元囚人。彼もマンデラと同じ軍事組織に属していたことで逮捕され、約7年間この島の刑務所で過ごしたそうです。マンデラが18年間を過ごした独房も見学しましたが、独房は鉄格子のドアに、畳2畳分ほどのスペースしかなく、ゴザのような敷物に薄い毛布、小さい机とトイレ代わりのゴミ箱が置かれているだけの簡素なものでした。冬でも防寒着も靴下もなく、他の囚人と勝手に話すことも許されず、先が見えない不安と孤独、過酷な労働、劣悪な環境下で、18年間も過ごしたそうです。想像しがたいほどのことですが、マンデラは獄中生活が続いても諦めず、法律を学び、白人の言語や文化の理解に努めたと知り、その精神力に驚かされました。その後、国内外から釈放の圧力が高まり、マンデラは1990年に釈放。1991年、アパルトヘイトが撤廃され、ロベン島の刑務所も閉鎖されました。

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この刑務所に政治犯として7年間近く入獄されていた方が、今は刑務所観光のガイドに。

差別や偏見はどこから生まれるのか?

 アパルトヘイトは何十年も前に撤廃されたものの、ケープタウンでは街を歩くだけでも白人と黒人の明らかな生活や環境の違いを目の当たりにし、まだまだ人種差別や経済格差が根強く残っていることを痛感しました。人種差別は世界中にあり、人間が存在する以上、この世界から完全に差別をなくすことはできないかも知れません。でも、自分たちにできることもあると思うのです。

 私は息子たちや旅先で出会う子どもたちを大勢見てきましたが、生まれたときから差別をする子どもには会ったことがありません。人種差別や偏見というものは、親や周囲の大人たちの言動から、知らず知らずのうちに子どもの心の中に作られていくものだと思います。だからこそ、大人が子どもたちに何をどう伝えていくかが、とても大切……。私も差別や偏見を含んだ言動を無意識に子どもの前でしていないか、親である自分自身が改めて考える必要があると感じました。

 ケープタウンの滞在は、親子共に人種差別について深く考える良い機会となりました。長男は南アフリカの歴史にも興味が湧き、鮮明に思い出に刻まれたようなので、やはり実体験に勝るものはないと感じています。

 私たちの旅はまだまだ続きます。次回は、ナミビアの大絶景とサファリをお届けします。お楽しみに!

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