人生を豊かにするものって何なんだろう?
１本の映画が、何かに迷っている自分の背中を押してくれたり、気づきを与えてくれることがあります。このコーナーでは、様々な人生を歩む素敵な女性たちに「心に残った映画」を１本選んで紹介していただきます。
今回ご登場いただくのは、ハワイ在住のスピリチャル・カウンセラー、菅原千春さん。セラピーセッションやカスタムメイドのパワーストーン・ブレスレットの制作販売をはじめ、音声SNS「Clubhouse」を使って新月/満月のワークショップを行ったり、モデレーターとしてカード・リーディングとクリスタルボウル音浴のルームなどを開催し、人気を博しています。そんな千春さんには趣味も多く、映画鑑賞もそのひとつ。毎年相当数の映画を観るという千春さんの心に残った1本は、2019年の映画賞を沸かせたこの作品です。
ピーター・ファレリー監督『グリーンブック』
心に残る映画はたくさんありますが、近年の映画の中で劇場に足を運んで二度観た作品の中から「グリーンブック」を選びました。
舞台のはじまりは1962年のニューヨーク。天才黒人ピアニストのドクター・シャーリーと、彼が米南部への演奏ツアーのために雇ったナイトクラブの用心棒、イタリア系のトニー・リップが繰り広げる物語。 タイトルの『グリーンブック』は当時の黒人専用ガイドブックで、それを頼りに人種差別の色濃い南部を人種が異なり共通点も何ひとつない二人が車で旅をする……。旅を通して二人の心が変容していくさまや、お互いをリスペクトするようになり、友情が育まれる過程に様々な思いを巡らせました。
映画の登場人物の言動や行動を見聞きし、「嫌だなぁ」と感じるところは、「自分にもそう言う部分が少なからずあるのかな」と思う時があります。まさにトニーの人に対する好き嫌いは、常に私自身の反省点。人生の折り返しを過ぎて、やっとマシになったかなと感じています。いけ好かないなと思っても、その相手に尊敬の念を抱くまでになったトニーの素直さに、誰もが好感を持ったのではないかと思います。
また、劇中でドクター・シャーリーが自分自身のことを「孤独の城に住むはぐれ者」と表現した台詞に、胸を詰まらせた人も多いのではないかと想像します。彼の気持ちを想像するに、おそらく彼はピアノの演奏中と自宅で過ごす時間以外は、どこに居ても常に居心地の悪さを感じていたと思います。でも彼は自分自身を知っていて、世間や人のせいにせず受け容れ、自分の好きなことに打ち込む強さを持っていました。その強さを持ちながらも、トニーの前で弱さを丸出しにした彼の姿には、居心地の悪さや生きづらさを感じやすい人々へのメッセージ、ヒントがあったように感じました。
この映画を通して、私の胸に一番響いたのは「心を開くこと」。相手の立場になっ て考えると言うことはもちろん、相手に興味を持ち、バックグラウンドや価値観を理解しようとすると、人との関わり方そのものが変わり、心穏やかに人付き合いができると感じます。みんな違って当たり前なのだから、と寛容になれると言うか……。人付き合いの浅い深いに良し悪しはなく、自分のぺースですれば良い。年を重ねるにつけ、そう思うけれど、やっぱり気の合う仲 間は居た方が人生は格段に楽しいと思える。出会いやご縁を大切に、異文化交流や異業種交流で自らの知識を高めたり、経験値が上がるという自分磨きにも繋がる。
出会うはずもないのに出会った主人公の二人は、仲良くなれるとは思えなかったのに生涯の友となった。人生に偶然はないと言うけれど、世の中にはありがたい偶然（必然？）が存在し、感謝に価する出会いがある。人の人生を豊かにするものって何なんだろう? 答えは人それぞれだと思うけれど、私は気の合う仲間と他愛もないことで笑い転げたり、何かあればお互いを励まし合える気の置けない友人がいることなのではと思います。
菅原千春さんのプロフィール
在米歴32年、ハワイ在住27年のスピリチャル・カウンセラー。Divine Magic代表。オリジナルデザイン、カスタムメイドのパワーストーン・ブレスレットの作成と販売も手掛ける。
ヒプノセラピスト、ふたつのクレア（超感覚と超知力）を持つ言霊セラピスト、マッサージセラピスト、 エステティシャン、レイキヒーラーとしての顔も持ち、ホノルルを拠点に北米各地と日本（札幌、東京、名古屋、大阪、福岡）でセラピー・セッションも行っている（現在はコロナ禍で休止中）。今後はカードリーダーやセラピストのための育成セミナー、アラフィフ世代の女性の心と体と魂のバランス、美と健康に関するサポートに力を入れていく予定。
旅好きとスピリチャルの両方を活かし、米アリゾナ州セドナ、カリフォルニア州デスバレー国立公園とマウント・シャスタにて、リトリート・オーガナイザーやガイドも務める（不定期）。
