ママが被害妄想を捨てない限り、誰も幸せにはなれない!

心が安定する生活への第一歩へ

 もやもやと心にかかる霧を最初に感じてから三年後、専業主婦だった私は20年ぶりのフルタイム社会復帰を果たしました。

 そして、そのわずか1カ月後に夫が家を出て行きました。
 
 これが、「心の安定がある生活」に向かう始めの一歩のきっかけでした。

 私は恐怖に近い不安を感じながら、「これは前向きな人生の転換期」だと自分に何度も強く言い聞かせていました。貯金も殆どなく、生活するために頼れるものは自分の強い意志のみだったから。

子供たちも不安でいっぱいになって

 引越ししたアパートには古い家具は持ち越さず、お手頃価格のIKEAで家具を揃え、
「心機一転、前向きに! 」を子供たちとの合言葉に、新しい環境で三人の生活が始まりました。

 そして同時に子供たちの我慢も増えました。

 なぜなら……、お金がないから。

 私はそれを見て落ち込み、なんとかしたいと焦りました。

 引越しと同時に転校もした子供たち。
 当時14歳の娘の情緒不安定が加速しました。
 
 でも、カウンセリング料として毎回かかるたった30ドルを捻出することすら難しい……。
 元夫に援助を求めても「興味がない」と拒否される(信じられない)。

 結局、仕事のスケジュールなど諸々の事情もあり、カウンセリングは数回で中断することになりました。
 これについて娘は、未だにその当時の気持ちを私に話そうとはしません。

 正直、この頃の記憶をタイムラインに沿って思い出すことが、なかなか出来ません。  
 この時期を一体どうやって乗り越えたんだろうか……。

とにかく、お金がない……

 私の離婚は、彼がアルコール依存症だということを申し立てし、法廷で争うことから始まりました。

 申し立ての書類を提出するだけの単純な離婚ではなく、膨大な量の書類と親権についての話し合い、慰謝料や養育費について、これらすべてを弁護士と英語でやり取り。
弁護士費用がかさむこともストレスになり、この時点で私は息切れしていました。 

 そしてお金が、あり得ないほどなかった!

 アメリカでは離婚をする手続きの際、双方から発生する細かな条件についての複雑化を避けるために弁護士を雇う場合が多く、その弁護士の費用は少なくとも1人 $20,000(約200万円強)はかかると言われています。

 幸せを獲得するための200万円。
 
 でも、弁護士との契約をした際には、まず$3,000~ $5,000(約30万〜50万円強)の頭金も支払わなければなりません。もし弁護士と直接会って話したければ、1時間 毎にチャージ(相場 $250〜)され、それを節約するためにメールでやり取りをしても段落ごとに料金を請求され…… チーーン!

 そう、私がビンボーだった理由のひとつがこれなのです。

「こんなにお金がないんだったら、離婚なんかしなければいいのに!」

 人生最大のビンボー生活。そして息子は食べ盛りのティーン。

 「ちょっとー、今日買ってきたんだから大事に食べてよね!」と、食べ盛りの息子の食欲にダメ出しする会話もあったりで、もう笑うしかない……。

 そんなある日、空回りしながらも必死で頑張る母に息子から辛辣な一言がありました。

 「こんなにお金がないんだったら、離婚なんかしなければいいのに」

 ……え?  皆で決めたんじゃなかったの?

 あなた達は、私の自分勝手な幸せ論に付き合っただけだったの?

 もう恥ずかしい思いをしたくないと、あなた達も言ったよね? 

 気づけばティーンになっていた子供たちとの生活の中で言われた一言で、私はまた迷い始めました。

「どうやったらこの子達が納得するのだろうか。幸せだと思ってくれるのだろうか」

 幸せにこだわった私は、今度は子供たちとの幸せ探しとなりました。

 しかも相手は手ごわいティーンの二人。

 ティーンのお子さんがいる方はお分かりだと思いますが、彼らは別の生き物です(笑)。

 大人と子供が半分ずつのそんなティーンの目から観察して感じること、それは鋭い言葉となって私に向けて発信されます。

娘に言われたひとことで目が覚めて

 ある日、娘から……

「ママは私たちのためにって言うけど、そんなものは必要ない。お金だって気にしてない。ママがまずその被害妄想と自分が可哀そうだと思う心を捨てない限り、誰も幸せにはなれない」

と、返す言葉を失うような指摘がありました。

 自己主張が自由に出来るアメリカの教育を受けている娘は、アメリカ人のマインドを持ちながら日本人の心も理解できる子。彼女なりに理解しようと努力し、怒り、私に何かを伝えたかったんでしょう。

 幸せにこだわり、それを目指すことでいつかそのゴールに辿り着ける。

 「母は強し」のマインドでなんとかなる、なんとかする、と思っていたのに独り善がりだったのかもしれない……。

 我が子たちとのやり取りから、「幸せへのこだわり」を少し違う角度から考え始めるようになり、同時に感じたブレようのない心。

 よし、ママはこれから変わるぞ! まだまだよく泣くけど成長して強くなるぞ!

だってママはあなた達を愛しているから。そしてあなた達を愛することが私の幸せだから……。

<これまでのお話はこちらから>

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