里親研修にいざ、出陣!

私たち夫婦には、「もう一度話し合う」ことなんてない

 私は、今後の展開に期待が持てそうにない心情のまま、今一度、児童相談所でいただいた特別養子縁組に関するパンフレットや書類を読んでみました(前回までのお話はこちら)。そこには私がそれまでに知らなかったことが書いてありましたが、それらは私たちが特別養子縁組をするにあたり、「えっ、そうなの…!? もう一度、考え直した方がいいかも……」などと思わせるような内容では決してなく、新しい知識として学ぶことができるものでした。

それと同時に、「やっぱりダメなのかなぁ~?」と思う一方で、「絶対に特別養子縁組はできる!」との気持ちの移り変わりもありました。あの児童相談所の担当者は、先日の訪問の際の話を踏まえて、特別養子縁組に対する認識に変化がある可能性を想定して今一度、夫婦で話し合って欲しいと思っているのかもしれないなど、実に様々なことが頭をよぎりました。ですが、私たち夫婦で話したのは、こうでした。

:児童相談所の担当者に、「もう一度話し合って」と言われたけど、特に話すことってないよね。私たち、特別養子縁組をやるって決めたよね? と言うより、決めたから先日、児童相談所に行ったんだよね?
:そうだよ、きみの言う通りだよ。
:それじゃ、児童相談所の担当者から指示があったように電話をするね。
:うん、お願い。

面会と電話の発言の何が違うのだろう?

 翌日、児童相談所の担当者に電話を掛けて、特にこれまでと比べて変わった言い方はせず、私たちが特別養子縁組をしたい旨を再度伝えました。すると担当者は、「分かりました。次の段階は、特別養子縁組里親になるための研修をご夫婦で受けて頂きます。それに申し込みなさるということで、登録いたしますね。そして、詳しい日程等は後日お知らせいたします」と言いました。

 私は電話を切った後、「えっ、今のは一体、何だったんだろう?!」と驚いてしまいました。ただ普通に、今までと変わらず「特別養子縁組をしたい」と言っただけなのに、前回の児童相談所にて担当者と顔を合わせて言ったのと、今回の電話越しで言ったのと何が違うんだろう? 私の頭の中ははてなマークだらけになりました。これは頭を冷やす必要がある夫婦がいるかもしれないための手順なのでしょうか?

 それから数週間後、里親研修の詳細が手紙で届きました。私と夫が受けたのは、特別養子縁組里親と養育里親の研修が合同で行われた研修でした。

特別養子縁組里親と養育里親の違い

 まずは、特別養子縁組里親と養育里親の説明をしましょう。

特別養子縁組里親:
特別養子縁組を前提とした里親。特別養子縁組とは、原則15歳未満の養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度。こどものために作られた制度。
(補足:2020年4月の法改正により、現在の法律である15歳未満となった。私たちが特別養子縁組をした2014年当時の法律では、6歳未満だった。)

養育里親:
原則として0歳~18歳まで(進学しなかった場合は中学卒業まで)の要保護児童を一定期間養育する里親。簡単に言うと、実親に代わり、子供の養育(子育て)をする里親。必要な場合には、20歳未満まで措置延長も可能。

里親については、以上の2つの他にも以下のようにいろいろな里親があります。

週末里親:
普段は児童養護施設等で生活している子供を、文字通り週末に受け入れる里親。
(補足:受け入れは毎週末である必要はありません。実際、週末に児童養護施設側で行事等があり、子供がそれに参加するため、子供が週末里親のところへ行くことができない週末があります。)

季節里親:
普段は児童養護施設等で生活している子供を、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆等の長期休暇に受け入れる里親。

短期里親:
普段は家庭で生活している子供を、親の入院、親が冠婚葬祭への出席等の理由で短期間受け入れる里親。

専門里親:
虐待された児童や非行等の問題を有する児童、及び身体障害児や知的障害時児など、一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する里親。

親族里親:
3親等以内の親族(祖父母、叔父、叔母など)の児童の親が死亡、行方不明、拘禁、入院や疾患などで養育できない場合に受け入れる里親。

私たちが受けた里親研修

 私たちが受けた研修は夫婦で参加することが必須条件で、私たちの他に10組ほどのご夫婦が参加されました。スケジュール的には月に2~3回、土曜日または日曜日、1回に4~6時間程、合計7~8回程で、乳児院もしくは児童養護施設にての現場研修(実習)が1回、残りはすべて児童相談所にての授業形式。また、里親研修の開催は定期的ではなく、ある程度の数の申し込みがあった時点で開催されていました。

その研修では、受講項目のすべてを「10」とすると、養育里親として登録を希望する夫婦は「10」すべてを受講することが必須。特別養子縁組里親を希望する夫婦は「9」受講することが必須です。私たちの居住地を管轄していた児童相談所にて里親研修を受けた夫婦は、一般的に里親研修の受講を終了後、特別養子縁組里親のみを希望としていたとしても、最終的には全ての項目を受講し、特別養子縁組里親と養育里親の両方で登録をする方がほとんどでした。

しかし、我が家は夫が特別養子縁組のみと強く希望していました。また、特別養子縁組里親としての登録には必須でないけれど、養育里親としての登録には必須な研修項目があった日に、私が体調不良で研修に参加できず、必須条件を守れなかったため、結果的に特別養子縁組里親のみでの里親登録となりました。

なぜ夫は特別養子縁組にこだわったのか

 特別養子縁組とは、子供が生みの親との縁を切り、養親の子供になるため、戸籍上の続柄は『長男』、『長女』等の表記になり、親権を持つことができる。いわゆる「自分の子供」となるわけです。一方、養育里親の場合は、実親に代わって養育(子育て)をするのみ。子供が実親のところへ戻るために子供との生活が終了する日や、子供が養育の年齢制限に達し、里親への措置が終了する日が必ず来ます。(補足:措置終了後、養育里親と里子が相互に「親子関係」を継続することを望む場合、もちろん継続は可能です。例として、里子が進学や就職等のために里親家庭を出て生活し始めた後、長期休暇等に帰省したり、里子自身の結婚式へ里親を「親」として招待すること等が挙げられます。)

 夫が特別養子縁組里親のみと強く希望していた背景は、特別養子縁組里親は特別養子縁組を前提としていたからです。夫は、「子供にたくさんの愛情を注いで我が子同然として育てていて、ある日突然、子供が自分の生活からいなくなるなんて考えられないよ。そして、いなくなってから、『今頃、〇〇はどこで何をしているんだろう? 元気かな? 生活に困っていないかな?』等と考えたり……。自分の気持ちをそんな簡単にスパッと整理することなんでできない。そんなのは自分が絶対に耐えられない! だから、ぼくは絶対に特別養子縁組だけしかしない!」と言っていました。

 私は「親になる」ことで、自分にそのような心理的な変化が起こり得ることなど全く想像していませんでした。だから私は夫の話を聞いて、「親になる」こととは、自分にとってまだまだ未知な世界だということを思い知らされたのです。

次回は実際の里親研修の内容についてお話します。お楽しみに~!

前回までのお話はこちら

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