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バーテンダー・トーク

【カリフォルニアの隠れ家バー便り】
世界中からチャンスを求めて移住者がやってくる米カリフォルニア。人種の坩堝の中で生きる様々な人たちが、ふらりと訪れる小さなバーで働く日本人バーテンダーが、カウンター越しに耳にしたリアルなアメリカをつぶやきます。

ホルモン補充法の普及率がすごい

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 マラソンランナーのようにスリムなロビンさん(仮名)。お父様から受け継いだファストフード・チェーンを複数店所有しているお金持ち。大学時代に出会った旦那様との間に3人の子ども、さらに2人の孫に恵まれ幸せな毎日を送っている。最近は孫のベビーシッター、海外旅行、ボランティア活動など店舗経営の他にも何かとお忙しい65歳の彼女の元気の秘訣とは?

 更年期世代といわれる年齢になった私が最近よく耳にする、ホルモン補充法。主に更年期障害を緩和するためにホルモンを処方するわけですが、アメリカではかなり気軽に処方されています。ここ数カ月でうちのお店でお話しした該当年齢女性のお客様のほぼ全員がなんらかのホルモン治療を行っていたという驚きの復旧率です。

 ロビンさんは60代半ばですが、とってもスリムで溌剌とした女性で、お話や身のこなしも、あやかりたいほど素敵。以前は関節痛に悩まされ、何もやる気が起きない時期も合ったあそうですが、ホルモン治療を開始してからはすっかり痛みがなくなったとか。それに伴ってエネルギーも出てきて、疲れづらくなったと言っていました。活発に動き回るので夜もよく眠れるそう。

 実は最近、私自身もホルモン補充治療を始めたので、ロビンさんの話を聞いて何だかワクワクして、「その他にも何か良いことありました?」と前のめりに聞いてしまい、ホルモンの話に花が咲きました。

ホルモン補充治療の種類と効果

 一般的に期待される効果としては、更年期に起こるホットフラッシュや感情の起伏などの障害の緩和。それに伴い肌や髪の質の向上、節々の痛みが取れ、よく眠れるようになったり、忘れっぽくなった脳が少しシャープになったり、骨粗しょう症や心臓病になりにくくなるとも言われ、正直良いことだらけ。

 処方は飲み薬、塗り薬、貼り薬の3種類と内臓に負担の少ないパッチを貼るタイプ。パッチは処方によって3日くらいで張り替えるものと、1週間くらいで張り替えるものがありますが、アメリカで一般的なのはエストロゲンの貼り薬か、プロゲストロンを飲むこと(子宮癌予防)のようです。

 ちなみに私の場合は数年前に子宮摘出手術をして子宮癌になる可能性がゼロなので、パッチを選択。ロビンさんはアメリカでもあまりメジャーではない「ペレット」を皮下に注入する方法をしているそう。

 アメリカでペレットというと、ストーブで火をつける時の「木質ペレット」が思い浮かびますが、お米よりちょっと長いくらいの小さな錠剤をお尻のあたりに埋めると、3カ月から5カ月くらいかけて、それがゆっくり溶けていくそうです。ペレットは医師の処方によって様々なコンビネーションがありますが、どうもテスタストロンが多いようです。

テスタストロンの作用とは?

 ロビンさんは関節痛の痛みの緩和のためにホルモン治療を試したら、あまりにも身体全体の調子が良くなったので、「ホルモンなしの生活は考えられない」と言っていました。周りの人からイキイキしていると言われればさらに元気が出るし、「なにより主人がとても喜んでいるの」と意味深な微笑みも。

 更年期あるあるのひとつが、どんどんなくなっていく性欲です。「体中カラカラに乾いて、考えるだけで拷問だったのよ。お願いだから近寄らないで!って感じで」と腕を前にグッと伸ばして「ストップ!」のジェスチャーをするロビンさんを見て、私も笑いなが内心「超わかる……」と頷いていました。それが、ホルモン治療を始めたら「最低でも主人と同じ気持ちになれる」と。長い間、夫には申し訳ないと思っていたそうで、ホルモン治療は夫婦生活の大きな助けになったそうです。

 私のエストロゲンのパッチは今のところ、ロビンさんのような違いは感じられませんが、潤いが出てきたといえばそうなのかな?というくらい。効果は人それぞれなので、ロビンさんのテスタストロンは性欲も含めて生活全体がエネルギッシュになったようです。

ホルモン治療のこれから

 医者のお客様が来店された際、ホルモン治療が流行ってる理由を聞いたら、「ホルモンは生きていく上ですごく重要だから、なくなったら補充して余生も元気に生きたいと思わない?」と聞かれました。

 確かに「今まであったものが更年期でなくなって」、それでもこの先30年くらい「それがないまま生きる」よりは、あった方が良いような気になりますよね。

 ただ、ロビンさんが使ったペレット法は今は賛否両論です。その理由は政府の規制機関であるアメリカ食品医薬品局の認可が下りていなから。とはいえ、大勢が買っている様々なサプリメントも同局管轄外で認可されていないので、認可が下りてないことがそれほど大きな問題ではないとも言われています。ロビンさんにそのことを聞いたら「正直、治療前は効果と副作用のことを考えたけど、生活がとても向上されたからもう全く心配してないわ」と言っていました。

 「唯一の小さい不都合があるといえばね……」と、小声で話してくれたのは、「ポツポツ顎髭が生えてきたの」とのこと。それはちょっと嫌だなぁと思いましたが、天秤に掛ければ些細なことなのかも知れません。

 「髭問題以外は、ホルモンは美貌サプリメント」と言い切るロビンさん。癌の発生率やその他の副作用の研究も進み、やはり「ホルモンはないよりあったほうが良さそうだ」という結論になれば、日本でもこれからさらに流行ると思います。

 60歳半ばでもご主人とセクシーな時間を過ごすことを大切にするロビンさん。私がその件はどうでも良いと感じるのは、テスタストロン不足なのかも知れませんが、世の中の同世代の女性たちがいつまでもロビンさんのように元気でありますように。私もこれから数カ月間でどれくらい生活が向上するか楽しみです。

今月のお酒:コスモポリタン

 私たち世代はやっぱりこのカクテル。1990年代に爆発的な人気を博したカクテルですが、その起源はかなり様々だそう。1980年代に生まれた説もありますが、古くは1930年代という説もあります。材料から想像できるように甘酸っぱい爽やかなカクテルなので、よく冷やして冷たいうちに飲み切ってください。でもアルコールは高めなので気をつけて。1990年後半から2000年前半に大ヒットした「Sex in the City」のケリーやミランダになった気分でおしゃれに乾杯しましょう。

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