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Vol. 9「ラブ・アクチュアリー」

 街中が一気にクリスマス・モードになりましたね。
「不思議の国ニッポン」と言われるだけあって、日本では宗教に関係なく、この時期はクリスマスツリーやイルミネーションで街が輝きます。

皆さんは、クリスマスをどのように過ごされますか? 私は、今年は家族と厳かに……。でも、「あの方はどう過ごすのかしら?」と気になっているところです。 

 さて今回は、そんなクリスマスを題材にしたイギリス映画。私の中では現代の恋愛映画の名作、リチャード・カーティス監督・脚本による『ラブ・アクチュアリー』(英題:Love Actually)(2004)をご紹介します。
まずは予告編をどうぞ。

19人の登場人物に起きるクリスマスの魔法

 今から16年も前の映画ですから、すでにご覧になった方も多いと思いますが 私にとっては毎年このシーズンになると観たくなる作品です。

この映画はイギリスの首相役を務めるヒュー・グラントが、ヒースロー空港に広がる風景を見ながら “Love is actually all around”という、心が暖かくなるナレーションから始まります。それを皮切りに、19人それぞれの登場人物のクリスマスの5週間前から、クリスマスの1カ月後までの約10週間にわたるアンサンブル・ストーリーが奏でられます。

私がこの映画に惹かれたのは、イルミネーションに飾られた街でハッピーそうな日々をクリスマス当日まで過ごしそうな、ロマンチックな雰囲気の映画が始まるわ、と思いきや……そうではないヒネリのあるところ。これがリチャード・カーティス映画の魅力のひとつ。

クリスマスに起きることは、ロマンスだけではないのです。
クリスマスだから幸せな出来事だけが起きるのではなく、悲しみも切なさもあるのがリアルライフ。
その偽りのなさも、観る者の気持ちを掴んでしまう大人のロマンティック・コメディです。

もうひとつの見どころは、夫婦や恋人たち間の「だけではなく、父親と息子、姉弟、友人達の愛などが描かれていること。

そして、この作品にはイギリスのトップ俳優達が勢揃い!彼らが9つのラブ・ストーリーを奏でます。
いくつもの感動的なストーリーを1本にまとめたカーティス監督は天才ですね。

なんと言っても忘れられない、キーラ・ナイトレーのあのシーン

 すでにこの作品を観られた方は、思わず感情移入したお話がひとつはあったのではないでしょうか。心に響いたのは、どの登場人物、もしくはどのシーンでしたか?

私にとっては、クリスマスの5週間前に行われたキーラ・ナイトレーとキウェテル・イジョフォーのウェディングでのサプライズシーンです!「All You Need Is Love」♬の演出は、素晴らしい二人への祝福。ジュリエット役のキーラ・ナイトレイのこぼれんばかりの笑みが眩しいほど幸せ感が溢れていましたね。彼女が笑うたびに天使が舞い降りてきそうでした。

公開の翌年に彼女にインタビューをさせてもらえる機会があったのですが、実際の彼女も見惚れてしまうほど輝いていました。このシーンは、キーラの本質も活かされたベストシーンかも。当時は17歳だったんですね。この映画の中でも大好きなシーンです。

でも……それとは裏腹に、ジュリエットの夫の親友マークは、ジュリエットへの切ない想いを抱いていたのです。これがもう心が痛くなるほど切ない。クリスマス・イブの日に新婚の彼女の新居に訪れて、キューカードにメッセージを書いて自分の気持ちを伝えるのですが、それが切なすぎる。その後のマークはどうしているのか、いまだに気になります。彼には素敵なパートナーを見つけていて欲しい。あれは辛い。あの直後にジュリエットが取った行動は、お礼のキス。でも、見ているこちらからすると、「あなたの気持ちは何なの?」と聞きたくなりました。ジュリエットは、もしかしたら天使ではなく、ミニミニ小悪魔だったのでしょうか。

愛は言葉の壁を越えられる

 私が選ぶもうひとつのストーリーは、コリン・ファースが演ずるジェイミーとオーレリア(ルシア・モニズ)の恋。

心機一転、南仏で執筆活動を始めるジェイミーですが、その家にお手伝いに来たオーレリアは、ポルトガル語しか話せません。お互いのバックグラウンドも知らない二人ですが、あることをきっかけに恋に落ちるのです。「愛に言葉はいらない」とは、どう言うことなのか考えさせられました。言葉が異なるからこそ、惹かれたのでしょうか?

この映画とはとんでもなく関係ない方なのだけども、ヒップホップ界の重鎮で俳優のスヌープドッグ様の迷言(名言ではなく)を思い出しました。

「そんなもん、説明のつかない感情さ。表現みたいなもの。手ざわりだったり、気配だったり。一度でもそれを感じちゃったら、他のものなんて世界に何もなくなっちゃう感じだよ。」

この感じに近いのかなぁ? 何かひとつでも相手に感じたとしたら、人を愛することはロジックではないということも感じさせてくれたストーリー。もしかしたらオーレリアは、「結婚コーピング」を受けていたとか(笑)? (←詳しくは祥伝社「今度の恋」で結婚します!」を読んでみてください。)

実際、私の親しい友人で30年近く、言葉が通じなくても心から愛し合っていた彼とお付き合いしていた女性がいました。愛に対しての私の思い込みをすっかり変えるきっかけとなったひとつのエピソードでした。

クリスマスソングを巡る友情に涙して

 そして、クリスマスソングをリリースすることになったビル・ナイ演ずるビリー・ザ・マックと、マネージャーのジョーの友情にも泣けました。

長年ヒット曲に恵まれなかったビリーを支え続けたジョー。クリスマス・イブに曲がNo.1を記録し、かのエルトン・ジョン様のパーティーに誘われたものの、最終的にはジョーの家を訪ねて一緒にクリスマスを過ごす二人。皮肉ばっかり言って、曲がNo.1になったら素っ裸でTVに出るぞーと言ってた反抗的なビリーでしたが、ジョーの心からのサポートがあってこそだったんですよね。テレビには、ほんとに素っ裸で出演されていたビル・ナイですが(笑)、映画の中では大きな存在感のある役柄で、彼のジョークには爆笑しまくりでした。

でも、なんだかんだ言っても、一番幸せだったのは、イギリスの首相デイヴィッドを演じたヒュー・グラントでしょう。

彼に仕える首相官邸で働くナタリーと、彼女の甥のクリスマス劇を観に車で行く途中、後部席に3人が座りタコの衣装を身につけた彼女の甥っ子を真ん中にしながら、互いの気持ちを確かめ合うシーンは印象的でした。テンションが上がるとダンシング・プライム・ミニスター(踊る首相。ここはヒュー・グラントの見せ所)になる彼が、映画の中で最も幸せな男だった気がします。

ラストは冒頭のシーンに出てきたヒースロー空港に戻ります。ビーチボーイズの曲「God Only Knows」と共にマルチ画面になるエンディングでは、様々な人々がハグするシーンが写ります。

夫婦、恋人たち、家族、友人達の再会。いろいろな人生がある。
たとえこの日がどんな日であっても、クリスマスという1日でみんなが繋がっていて、そこからいろんな形の愛が生まれる。
それを教えてくれた、このオリジナリティ溢れるクリスマス映画は、私にとってのNo.1 movieです!

ちなみに、この作品の続編として、2017年に15分ほどのチャリティー短編フィルムとして『Red Noses Actually』が公開されています。Red Nose Dayのためにキャストが再集結したのですが、13年後の彼らを描いたストーリーは果たしてどうなっていたでしょうか? 機会があったら是非観てみてくださいね!

では皆様、少し早いけれどHappy Christmas!
今年もお付き合いくださり、ありがとうございました。
来年は、さらに皆様に興味を持って頂ける作品を紹介して行きたいと思っています。
どうぞお楽しみに。

RIP Alan Rickman

ラブ・アクチュアリー」(英題:Love Actually

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