遠くの親戚より近くの他人

周囲の他人からのサポートに心から感謝して

 ここまでは私の心の葛藤や当時の具体的な環境のお話を主にしてきましたが、忘れてはならないのが周りの人たちからのサポートです。踏ん張ろうともがく私に、「ここに居るよ」、「寂しいのと孤独は違うよ」、「弱音もアリ。お互い様」と言ってくれる人たちの存在です。

当時、人間不信にもなっていた私は、人に裏切られたくないという思いから、社交的な自分を抑制し、あまり人と関わらないでいました。お金がなかったので、外に出ての気晴らしも限られていたし……。

また、こんな状況下で迷走する私のメンタルを理解出来ずに、疎遠になる人たちも残念ながら存在したので、心が折れそうになることもありました。

日本の家族には、心配を掛けたくないという思いから、しばらく報告しないままでいたこともあって、長年のアメリカ生活の中で知り合った信頼できる当地の友人たちに元気づけられ、助けられてきました。

価値観が似ている気の合う数十年来の友人たちが、いつの間にかアメリカの家族のような存在になっていて、異国の地で苦しんでいたときの彼らのサポートが、どれだけ心強かったことか。

「遠くの親戚より近くの他人」とは、本当によく言ったものです。

孤独を感じるときは、どんなとき?

 ある友人から、こんなことを言われて、自分の心の在り方に気づかされたことも。

「孤独を感じるときは、誰もいないとき。でも寂しいと感じるときは、欲しい何かや誰かが居ないとき。だから、あなたは孤独ではないでしょう?」

 また、日本に住む親友は、私が電話をするたびに、そのときの声のトーンで私の状態を察して聞き役に徹してくれました。最初の5分は私がひたすら泣いていても、「どうした? 疲れちゃった?」と、さんざん泣かせてくれて、「あなたの気持ちを100%理解することはできないけど、分かち合うことは出来るからね」と、いつも温かい言葉をくれるのです。

 「どうしてる~?」、「今、何が必要~?」と定期的に電話を入れてくれる当地の友人もいます。ある日、私が泣きじゃくりながら「お金がホシイーーー」と言うと(苦笑)、彼女は、「お金は無理だね〜」と笑いながら返してくれた。ただ、それだけ。その対応の中に大きな愛情を感じて、ホッとしたことを覚えています。

みなさんにも周りを見渡せばそんな人たちが、きっといるはずです。

「助けて~。私ダメかも~」と、自分の気持ちを少し緩めて伝えてみることで、環境は変わります。

だからゼッタイに「ひとりじゃない」と信じて、心をカチカチにせず、無理やりでもいいから上を向く、前を向く、周りを見渡してみる。頑張る人には、愛のある人たちが必ずサポートしてくれます。

目の前にある幸福感を子供たちと分かち合いたい

 ところで、離婚当時、私が子供たちによく言っていたことがあります。

それは「たくさんキレイなものを見よう!  キレイなものを見て心を動かそう!」と、いうこと。小さなことでも心が動き癒されるものに出会ったら、立ち止まり感謝して、明日も頑張れるから。

仕事帰りに家路につく車中から夕陽を見て、その美しさを子供たちと分かち合いたいと思い、「さあ、今から夕陽を見に行くよ!」と唐突な提案をして、怪訝そうな彼らを車に押し込み、夕陽を見に行くということもありました。 

きっかけがあれば、私自身は何に幸せを感じるのかを子供たちに伝えて共有しました。

ある日、娘に言われた「ママが幸せにならなければ、周りは幸せになれない」ということを肝に銘じ、少し心を緩めて今、目の前にある幸福感を共有して感謝する。

それが私の心の癒し、ひいては子供たちの癒しにも繋がって、またなんとか頑張れるから。

自分が執着し続けたものは、どこにあったのか

 そういう私なりの努力と同時進行で、離婚後も元夫のアル中と素行は悪化していました。

酔いがピークになると思われる時間帯が来ると、何か理由をつけて私に嫌がらせのメールを送ってきたり、お金についての嫌がらせをしてきたりするので、私の気持ちは麻痺しつつありました。

ただでさえ綱渡り状態の生活の中で、ネガティブな波に飲み込まれそうになるー。

そんな中での子供たちや友人たちの温かいサポートは最強でした。大袈裟に言っているのではなく、このサポートなしでは私は生き抜けなかったと思います。友人たちとのこんな関係は努力して作れるものではありません。
だからこそ有難くて幸せなこと。

そこには、私が執着し続けた「愛情や幸せの共有」がありました。

私が欲しかった幸福感は、こんなに身近にあったのだという素晴らしい事実に気づき、こんなに大切なことを見逃していた自分の傲慢さにもはっとしました。「愛を持って人と共に成長する」ということを大切に生きてきたと自負していたのに、こんな大事なことに気づきもしなかったのですから。

これから私はもっと成長をしなければ……。

幸せになるための離婚をしたのです。
大丈夫、強くなれる。
みんな、心から本当にありがとう。

<これまでのお話はこちらから>

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