失業期間中のことを書いて欲しいと言われて……

 前回、シングルマザーの私たちが、その周りの環境へどう向き合うかなどについてお話しした中で、私の7カ月間に及んだ失業についても少し触れました。今年1月から念願の社会復帰を果たした今は、まだ始まったばかりの新しい環境の中で、あらゆる意味でとにかく立て直しの日々を過ごしています。「あれもひとつの貴重な人生経験だったよね」なんて振り返る時間も、メンタルの余裕なんて微塵もないままもう5月。 

 そんな中、編集部から「失業を経験したシングルマザーからの生の声を書いてください」との依頼が来てしまい、良い人の私(笑)は、まだまだ苦い気持ちが残る中ではありますが、あの7カ月間の失業期間の自分の心境について少しシェアさせて頂こうと思います。皆さんが今置かれているそれぞれの環境へ勇気を届けられたら嬉しいです。

焦りとプレッシャーだらけの日々

 「失業」。悲しみとか苦しみとか、そういう感情以前に「喪失感」。これは私がまず最初に持った感情でした。まるで恋人との突然の別れみたいな。「どうしよう……」と涙する。でも全力で最善を尽くせば、近い時期での再就職が叶わないわけがない、時間がかかったとしても頑張る、と自分に言い聞かせる……。

 毎日同じ時間の中で繰り返し積み重ねられている安定した何かがなくなるということ、そして、その「安定」に含まれている見えづらいけど有難い様々なことをなくしてから気づくということ。「失業」という形ではなくても、こんな経験をされた方は多くいらっしゃると思います。

 仕事を失ってからしばらくは勢いよく、モチベーション高めで職探しをしていました。仕事の情報収集して応募するのはもちろんのこと、元同僚たちと定期的なコミュニケーションを取り、モチベーションを下げないために様々なオンライン・セミナーに参加、ネットワーク作りに励みました。また、積極的に外へ出て体を動かし、マスクをして友人とひたすら歩くなど、生活環境とメンタルの健康を保つためのバランス維持には、かなりの時間と努力を費やしました。  

 ところが、3カ月を過ぎたあたりから焦りが急に出始めました。仕事を探すことが日常となり、余裕で50社を越える応募にトライしているにも関わらず、前に進まないどころか、その兆しも見えない。何がいけないのかも分からない。ただ明確に分かっているのは「就職すること」。これだけが私のゴール。仕事をして安定した収入を得て子供たちを安心させたい、という焦り。

 私の焦りと同時に、私の横では別のストレスを抱えた高校生の二人の子供たちの不安も見え隠れしていました。

 「出口のない暗いトンネルの中」。まさにそんな感じで、光を見つけることが出来ない。どうしよう、どうなるんだろう……と、焦りとプレッシャーだらけの日々を送っていました。

若い頃に読んだ本が気づきを与えてくれた

 そんな時、ふと若い頃に読んでいた本が読みたくなって、日本から持ってきた文庫本を久々に手に取りました。すでに読んだ内容でも、その年齢や置かれた環境、立場によって読み方や捉え方が違ってくるという経験は皆さんにもあると思います。私は、もう何度も読んだことがある夏目漱石の『こころ』や、吉本ばなな『体は全部知っている』、村上春樹の『ノルウェーの森』などを読み直しました。

 どこかで期待していた通り、それらを読み終えて、ひとつ変わったことがありました。 

 それは、失業という環境の変化を「悲惨な変化」として捉えるのではなく「人生のごく一部で大きな学びをしている期間」だと捉えてみようというマインドへの変化です。人生の変換期へ適応する(Adjust)という向き合い方をしてみようと思ったのです。

 また、「自分の何がいけないのか」に執着するのではなく、現在の状況(世界的なコロナ禍)に置かれている自分を客観視するように心がけようと思いました。 “It is not my fault”(私のせいじゃない) と考え、今あることに感謝する。そう考えると、今までの私は感謝に欠ける人生を送っていたなぁと反省したり……。

 日常には「有難い」がたくさんあるんですよね。日本の家族も含め、家族みんなが健康であること、住む家があること、ベッドと毛布があって、冷蔵庫に食べ物があること、大切な子供たちがそばに居ること。ついでに愛犬もなんとか元気で、いつも通りのえさは欠かさないこと。

 仕事がなくては生活出来ないけれど、仕事があったとしてもミニマイズ(最小限)な生活を送ればいい。人それぞれの価値観、生き方やそれについての哲学はいろいろとあると思いますが、「希望=やりたいこと」を持つ、結局そこなんだよね、という極めてシンプルな気づきがありました。

 それからは「自分に集中する」という方法で心を充実させてみようと思い始めました。自分を整えながら背筋を伸ばして、やりたいことを手に入れられる自分を築く、磨く。こうやって日々積み重ねていけば、10年後が楽しみになりませんか?

 経験は人生を深くする。まだまだ頑張れ、私たち!

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