アメリカの入国審査で怒られたのは、なぜ?!
国際結婚・海外移住

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人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴17年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:米入国審査で怒られたのは、なぜ?

 アメリカ旅行の際、入国審査官の言っていることが聞き取れなかったので近くに寄ったら、「距離が近い」と注意されました。だから「よく聞こえないだけ」と伝えたくてもう一度近寄ったら、何か言われて別室に連れていかれました。なぜ、そんなことでこんな扱いをされるのか意味がわからず、せっかくの旅行が不愉快なスタートになりました。何が正解だったのでしょうか?

入国審査官はカスタマーサービス係ではない

 こんにちは。ご立腹のようですね。アメリカの空港における入国審査官(CBP Officer)の対応については、いろんな体験談を耳にします。基本、入国審査官たちは無愛想で、なんだか機嫌が悪そうですよね、笑。冷たい対応をされて、「日本人だから差別されているに違いない」「現大統領だから厳しくなったんだ」などという声もよく聞こえてきます。そう思うのも仕方ないのかな?とも思いつつ、いくつかのこと頭に入れておかないといけないのかな?とも思います。それについては前回の私のコラムを読んでください(ここをクリック)。

 入国審査官たちに愛想がないのは、仕事の性質上、過度に親しげな態度を取らず、偏見を避け、権限を保つためにやり取りをフォーマルに保つように訓練されているからだそう。たまに、フレンドリーで親日の入国審査官がいたり、笑顔で迎えてくれる入国審査官を見かけることもありますが、基本的には無愛想(無表情)がディフォルトのようです。

 日本はおもてなしの文化で世界から賞賛されるくらい、笑顔や親切なカスタマーサービスで溢れているので、それに慣れている日本人からすると、「自分はアメリカを訪ねてきたお客さんなのだから、日本のような丁寧な対応をするのが当たり前」と感じる方も多いでしょう。ですが、入国審査官はカスタマーサービス係ではありません。彼らはCBP Officers、つまり入国のスタンプを押す係員ではなく、違法行為をしている人や犯罪者、テロリストなどを入国前に取り締まる警察官のような存在だと思っておくのが良いと思います。アメリカは陽気でオープンな国という明るいイメージがあるから、それを求めてしまうのかもしれませんが、日本の入国審査官も基本、無表情ですよね(苦笑)?

「私は悪くない」と言っても通用しない

 さて、今回のご質問ですが、入国審査官の言っていることが聞き取れないので近くに寄ったら“Move back!”(後ろに下がりなさい)と言われたのかな? そして、その後も聞き取れないからまた近づいてしまい、怒られて別室送りになった……。言い難いですが、これはしょうがないです。

 基本的に審査官に必要以上に近寄ったり、ブースの中や画面を覗き込んだりするのは絶対にNGなので、近づき過ぎて注意されたのにもかかわらず、再び近づけば、それは当然「オフィサーの言うことに従わなかった」ことになります。問題がある人物として別室送りを間逃れなかったのも頷けます。

 聞こえなかったのなら、その場で「聞こえないので、もう一度お願いします」と言えばよいし、英語に自信がないなら、入国時に渡米目的などを聞かれることは分かっているわけですから、答えを用意して紙に書いておくこともできます。要はちゃんと準備をして臨むべきであり、それは他国への入国にあたってのリスペクト(大昔だったら覚悟)でもあると思います。

 私は「ここに立て」と書いてある線を超えた位置に立っていたアジアからの外国人が、入国審査官に「下がりなさい」とジェスチャー付きで指示されても、リスペクトを見せず「はぁ?」とか言いながら薄ら笑いを浮かべて一向に指示に従わず、別室に連行されていくのを何度も見かけたことがあります。残念ながら嘘をつく人たちの中には英語がわからないふりをして押し通そうとする人も結構いるので、それは通用しないことを見せる意味でも別室に連行される人が多いのも事実です(あまりに多いのでTV番組になっているくらい)。  

 「私は嘘もついていないし、犯罪者でもない」ということで不当だと立腹される人もいらっしゃるでしょうが、一番大事なのは「オフィサーの指示には従う」こと、「逆らわない、礼儀良く」が肝心です。日本人はルールを守る人も多いですし、礼儀正しい方が大半だと思いますが、明るい雰囲気の管理官や警察官でも、あなたが言い返したり、ふてくされたり、からかったような(ばかにしたような)態度を取れば、とたんに態度が変わり、強制送還や逮捕なんてこともあるのです。相談者さんは、入国審査官の命令に逆らったのに別室送りだけで済んで良かったと思った方がよいかもしれませんよ。

アメリカに持ち込めない食材を甘く見ると……

 ところで、アメリカに旅行する際、知人への日本土産や自分用のインスタント和食(インスタント味噌汁など)を持参する人は多いはず。私も日本に里帰りするたびに、スーツケースからはみ出すくらい日本の食べ物を持って渡米します。でも、「アメリカに何を持っていけるか?」については時間をかけて入念に各食品のラベルをチェックしてから荷造りしています。

 それは、入国する際に必ず「持ち込み禁止の食材を持っているか?」と質問されるから。口頭やタッチパネルで聞かれる場合もあれば、税関提出用の書類に記載する場合もあると思いますが、質問をよく読まないで全部「NO」にしている人も多いのでは?

 実は、これに「NO」と答えたのにスーツケースを調べたら持ち込み禁止の食材を持参していたことが判明した場合、笑えない金額の罰金(最高$10,000の罰金)や罰則、「グローバル・エントリー」の剥奪、持ち込み物の内容によって逮捕からの強制送還になる場合もあるので、くれぐれもご注意ください。

 面倒だからとか、お金を払いたくないから、英語がよくわからないから、これまで一度も問題にならなかったからなどの理由で「全部NO」に印をして、「これくらい大丈夫でしょ。スーツケースが開けられることはないし……」と思っていたのに、ランダムで行われる検査に当たってしまった場合、大変ですよ。乗り換えがある人はランダム検査に当たってしまったら次の便に間に合わないかもしれません。

 持ち込み禁止の食品はいろいろありますが、お肉や肉類のエキスが入っているものは持ち込めないので、摘発で一番多いのがラーメン(スープに肉エキスが入っているものがほとんど)やカレー、また生のフルーツや野菜や植物など。飛行機の中で食べるつもりだったカツサンドがカバンに入っていて検査犬に吠えられて大騒ぎになった例などいろいろありますが、とにかく渡米前にちゃんと自分で調べましょう。最新情報はコチラの米国国土安全保障省税関・国境取締局(CBP)のサイトで確認して、安心安全な旅行を楽しんでくださいね。

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