バツイチ子なしは海外の方が暮らしやすい?
国際結婚・海外移住

【国際結婚・海外移住の質問に答えます!】
人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴15年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:バツイチ子なし、海外の方が暮らしやすい?

 私はバツイチ子なしの40代で、もう子どもが産める年齢ではありません。子どもがいない女性は日本ではとても暮らしにくく、海外生活に憧れています。でも海外生活の経験者から、アメリカはクリスチャンが多いから子どもがいる家庭が前提だと聞きました。本当ですか?

子なしに関する質問は、まさに私ごと!

 こんにちは。ジョーンズ千穂です。これはズバリ、私たち夫婦が長年ずっと心に抱えてきていたモヤモヤに直結するご質問です。

 そのモヤモヤが解決したばかりなので、お答えしますね(笑)!

 アメリカでは「子どもがいない」と言うと、日本では考えられないレスポンスが返ってきます。それは返答というより、「アドバイス」。そうなんです、それを求めていないし、尋ねてもいないのに、いきなりアドバイスが返ってくることが多いんですよ(苦笑)。そのことが私たち夫婦を長年にわたって深く悩ませ、ずっとずっと、ずーーーっと、ストレスでありました。

 日本でも、結婚している女性だと、初めて会った方や久しぶりに会った人から「お子さんは?」「子どもはまだ?」なんて聞かれたことありませんか? その際に「まだなんです」と言うと、「いつか出来るわよ」「きっと可愛い子が産まれるだろうね」なんて微笑ましい前向きな言葉が返ってくることが日本だと多いと思いますが、アメリカはちょっと違います。

 アメリカでは、子どもがいないと知るや否や、「養子縁組をすれば?」「里親制度もあるわよ」「卵子の凍結保存はやっている?」など、たくさんの遠慮などない「ご教示」が返ってきます(汗)。少なくとも私たち夫婦の場合は、長い間ずっとそうでした。

 そして、そういう「アドバイス」の数々が、なぜ私の心をこれほど傷付け、悩ませるのか、その理由に気づくのに何年もかかりました。

子どもがいる人から子なし人へのアドバイスは……

 「養子縁組をしなさい」等とアドバイスされることがトラウマのようになっていた私が、なぜそこから抜けられたのか? それは結構、呆気ない出来事のおかげでした。

 子なしの私たち夫婦に「そういうアドバイス」をくれたうちのひとりが、数年前に結婚して、自身もアラフィフの子なし妻になったんですね。そして、その彼女が先日、私に「あなた達はこういう質問を受けてどう思う? 私は人としてNot enough(十分ではない)と言われているように感じて、ものすごくストレスなの」と真剣に相談してきたので、私は「今だ!」と思ってこう返しました。

 「あなたはそれとそっくり同じことを、15年前に私に言ったけど……?」

 そう私から逆に質問された彼女は、真顔で「それは、あなたをヘルプしてあげたいと思ったから、アドバイスしたのよ」と言ったのです。

 それを聞いた瞬間、私は15年間も悩み続けていたことから開放されたような気がしました。「えっ、なんでそれで?」と思う人もいるかもしれませんが、私はそれまでずっと「アドバイス」を「押し付け」としか受け止められず、まさか「私のことを助けたくて、そう言っている」とは考えもしなかったんです。  だからこれが、長年のトラウマから私が抜け出せた瞬間でした。

子どもがいない私は価値がないのか?

 私は長年、不妊治療を続けていました。治療中はホルモンバランスの崩れやストレスやなどにより、人から言われた言葉を大きな心で受け止めたり、受け流したり、聞き流すことができませんでした。

 子どもがいる人たちからの「アドバイス」がナイフのようにグサッと心につき刺さり、それが積み重なって、ついには「子孫繁栄ができない私の存在は罪なのか?」とまで思うほどのプレッシャーを感じて……。いわゆる「不妊様」でした(笑)。 

 アメリカでは養子縁組を推奨する土壌があるので制度が日本より認知されているし、里親には政府からの援助金が支給されたり手厚い待遇を受けられたりもするので、アダプション(養子縁組)は日本より行動に移しやすい環境だと思います。子どもと血が繋がっていないと聞いても特に驚くことも驚かれることもなく、養子縁組をしている人のことを「社会に貢献している素晴らしい人」だと称賛する声もたくさん聞かれます。

 ひとりの子ども(人)の命を預かることのは、ものすごい覚悟がないと出来ないことなので、私も「養子縁組や里親になるのは素晴らしい行い」だと思います。

 だからこそ、私は子どもがいないのに、養子縁組や里親に「ならない選択」をしている、つまり「私は社会に貢献できていない」と感じていたことも、ずっとストレスになっていたと思います。

日本で特別養子縁組をされた方の連載コラムはこちらから

アメリカにおける「子なし事情」

 人種のるつぼであるアメリカには、キリスト教信者をはじめ、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教など様々な宗教の信者が住んでいますが、どの宗教でも「結婚して子どもをもうけて家庭を築くこと」を大切にしているので、人工中絶や避妊に関しては基本、否定的です。クリスチャンだけがそうだ、と言うことでもありません。

 また、私の周りを見ると、人種や宗教に関わらず、子どもが大学を卒業するまでの支援できるように計画し、授かる子どもの数をファイナンシャル面からも考慮して決め、積み立てや投資などを綿密に計画し、子どもがいる前提の人生設計をしている人が多いです。「アメリカでは高校を卒業したら自分で生きていく」が一般的だった頃とは変わってきたようにも見えます。

 前置きが長くになりましたが、質問者さんへの私の回答は、「クリスチャンが多いからではなく、アメリカは子どもがいる家庭が前提という傾向が高いと思う」です(汗)。こればっかりは子なしの人にしかわからないし、言えないことだと思いますが、残念ながら「子なし女性はアメリカの方が生活しやすい」とは言えません。

 でも、だからと言ってがっかりしないで下さい。解決策は、とにかく気にしないこと! 子なしを気にしている時間があったら、もっと自分のやりたいことに目を向けて、人生を楽しまなくちゃ損ですよ! 時間がもったいない。あなたの人生はあなたのもの。自分軸は大事です。

 最後にもうひとつ情報を。もし質問者さんが現在独身ならば、アメリカでの独身者への税金は既婚者に比べてかなり高いので(州によって率は変わります)、独身で移住する場合は州法も考慮して移住先を選ぶのもお勧めです。

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