ひとり駅弁部『呑み鉄女子ふたり旅』番外編 

日本海を走る観光列車「海里(かいり)」の旅

 6月に呑み鉄女子ゆか里さんと初めてSLに乗って旅をしたのが楽しかったので、今回は第二弾、秋の呑み鉄女子ふたり旅!

新潟駅から山形・酒田駅まで走る観光列車「海里」

 新潟駅から山形・酒田駅まで走る観光列車「海里」に乗って旅をした。あくまでも「呑み鉄」なので、列車に乗ってお酒と駅弁を楽しむのが旅の目的。まずは、新潟駅にある「ぽんしゅ館」でワンカップの日本酒を選ぶ。見たことのない珍しい新潟のお酒がたくさんあるので、ラベルを見ているだけでワクワクする。

新潟駅のぽんしゅ館(左) 旅のはじまりはドラの音(右)

 午前9:50 ホームに4両編成の「海里」が入って来た。出発前に運転士がドラを鳴らすとゆか里さんが教えてくれたのでスタンバイ。10時ちょうどにドラが鳴って、旅が始まる。10:11に新潟駅を発ち、山形・酒田駅の終点まで約3時間ちょっとの旅だ。

 「海里」は4号車のダイニングで食事とお酒もいただけるのだが、私たちはそれぞれ好きな新潟の駅弁を買ってお酒とおつまみを持ち込んだ。車内の食事も食べてみたいと思ったが、常連のゆか里さんにはいつもの楽しみ方があるらしい。

日本海ふたり旅の写真日誌

 ゆか里さんが予約してくれたのは、2号車の個室。4人掛けの向き合う座席が仕切られていて、プライベートな空間になっている。

2号車個室(左)、車内の売店(右)

 足を伸ばせるように座席をフラットにもできる。ゆか里さんは慣れた手つきで椅子を引き出し、快適な部屋が出来上がった。ここなら遠慮なくお弁当やおつまみを広げられる(笑) 。とりあえず、今回もゆか里さんが用意してくれた冷えたビールで乾杯!売店にはいろんなお酒もあるので、足りなくなったら買えばいい。

         椅子を使用前の個室(左)、椅子を使用後の個室(右)

 私がこの列車に乗りたかったのは、日本海沿いを走ると聞いたからだ。新潟市民の「あるある」かも知れないが、子どもの頃の海水浴といえば、近くに海はあるけれど、家族で遠出して村上市にある「笹川流れ」という透明度の高い海岸に行くのが楽しみだった。私もゆか里さんも、子ども時代の共通する思い出だ。その地を走るという観光列車に1度は乗ってみたかった。

 出発して1時間もすると海が見えてくる。遠くに見えた粟島がどんどん近づいてきて、笹川流れがある桑川駅で約30分間、停車した。駅を出て道路を渡ると目の前は海。私たちは海岸まで歩いて、夏が去った静かな海を楽しんだ。

なんと停車駅の目の前が海!

 「そろそろお腹が空いてきたな」と思っていたら、ゆか里さんから「ここで『あおさのみそ汁』を買って駅弁と一緒に食べよう」という提案があった。なるほど、こんな楽しみ方があったのか!? 道の駅では、「海里」の停車時間限定であおさのみそ汁を200円で販売していた。

停車駅にある「道の駅」(左)、「海里」の停車時間に合わせて販売される「あおさのみそ汁」

 私が買った駅弁は、新発田三新軒の「朱鷺めき弁当」。以前このコラムでも紹介したが、新潟らしい駅弁が食べたくて朝からこの駅弁を買おうと決めていた。ゆか里さんが選んだのは、大好きだという新発田三新軒の「鮭の焼漬弁当」。郷土色たっぷりで私も大好きな駅弁だ。お酒を呑んだあとに、このみそ汁は沁みる。温かいみそ汁付きの駅弁って最高! ゆか里さんが今朝漬けてきたキュウリとミョウガの浅漬けも美味しくいただいた。

新発田三新軒の「朱鷺めき弁当」と「鮭の焼漬弁当」

 終点の酒田駅に着いて、帰りの列車まではわずか1時間半。帰路も海里に乗って帰るのでゆっくり観光をする時間はないが、酒田で有名な「山居倉庫」までゆか里さんが案内してくれた。ここは、明治に建てられた米倉庫で白壁の土蔵づくりの倉庫が9棟並んでいる。NHK朝ドラ「おしん」の舞台にもなったところで、JR東日本の「大人の休日倶楽部」のCMで吉永小百合さんも歩いた有名な場所。涼しい風に吹かれてのんびりと眺めながら、思いを馳せる時間もいいものだ。

酒田で有名な「山居倉庫」。土蔵づくりの倉庫が9棟並ぶ

 地元のスーパーに寄って、酒田の塩納豆と山形の玉こんにゃくをお土産に。あれこれ見ていたら帰りの列車の時間が迫ってきて、慌ててタクシーを飛ばして無事に乗車できた。帰りは新潟限定「風味爽快ニシテ」の生ビールで乾杯。

 帰りの列車で日本海に沈む綺麗な夕日を期待していたけれど、残念ながら雲が厚くて見られなかった。でも今回もいい呑み鉄旅だったなぁ。次はどこに行こうかしらん。

酒田の塩納豆と山形の玉こんにゃく。ビールは新潟限定「風味爽快ニシテ」

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