アメリカの病院は入院させてくれないの?!
国際結婚・海外移住

【国際結婚・海外移住の質問に答えます!】
人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴17年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:出産しても入院できないってホント?

 アメリカで出産すれば子どもは二重国籍がとれるので、絶対にアメリカで出産したいのですが、アメリカでは出産しても日本のようには入院できないという話は本当ですか? もしそうならば皆さん、入院せずにどうやって産後の対応をしているのですか?

入院させないわけではなくて……

 こんにちは。日本とアメリカの医療制度や医療費の違い———よく耳にします。国が違えば制度も違うとわかっていても、やはりその違いには驚かされますよね。

 アメリカで出産する場合、入院の目安は自然分娩で通常1~2日(問題がなければ翌日退院)、帝王切開の場合は3~4日だと思います。医療保険の種類や病院の方針などで、24時間以内の早期退院なんてこともあるようです。

 日本ではアメリカよりは数日長く入院できると思いますが、アメリカの医療費は高額なので「最小限の入院期間」で退院させられます。アメリカでは誰もが同じ医療保険を持っているわけではないため、各自の保険がカバーする内容や自己負担の金額が異なるからです。アメリカの病院で1日入院する費用の平均額(2025年)は、なんと約3000ドル(日本円で約48万円)。企業や政府が全額負担してくれる保険ならいいですが、自己負担がある保険だと支払い額がとんでもないことになるので、「なるべく入院させずに家に返す」ことが病院側の基本姿勢なのです。

 もちろん病床が空いていて、自己負担額は問題ではなければ出産後に入院することはできますし、「料金に糸目はつけない。出産後は安心して入院したい」という人を対象にした医療保険対象外でセレブ的なサービスを完備している病院もあります。そういう病院だと新生児看護師が24時間体制でサポートしてくれ、スパ、マッサージ、母体ケアなどもついているそうですが、いったいおいくらになんでしょうね(汗)。

手厚い在宅ケアもある

 そういうわけで、アメリカでは基本的に出産後はすぐに退院して家に戻りますが、退院後も病院や専門家がサポートしてくれる在宅ケアがいろいろあります。授乳の仕方など病院で教えてもらえますが、授乳に問題があれば、それを専門とするラクトーション・コンサルタントや様々サポート体制があります。

 また退院後は、家事や身の回りのことは家族が育児休暇を取って面倒を見たり(アメリカではほとんどの会社で育児休暇が取れる)、どちらかの両親や親せきがしばらく面倒を見に来てくれたり、ヘルパーさんを頼んだりします。

 諸事情からヘルプがない人は、出産前に1週間分くらいの食事を作って冷凍して備えたり、様子を見に来てくれる友人や近所の人から差し入れを頂いたり、アプリでレストランやスーパーマーケットから配達してもらったりして、なんとかなる、いや、「なんとかさせるしかない」という感じです。  

 私の日本人の友人たちは、日本からお母さんが渡米して泊まり込んで手伝ってくれた人が多いです。お母さんの手料理を食べて産後の大変な時期を乗り越えられたのは嬉しかったけれど、お母さんが英語を話せず、車の運転もできないからそこは大変だった……なんて話もチラホラ聞きますが。

 なので、出産後は入院期間の長さにかかわらず、日本でもアメリカでも各自の「大変さ」はそう変わらないのかもしれません。

さらに知っておいた方がいいことも

 私も4年前にアメリカの病院で乳がんで部分切除の手術をしたのですが、日本なら数日ほど入院するところ、私は手術をした日に日帰りでした(笑)。術後、全身麻酔が覚めるまで休むリカバリールーム(回復室)で横になりながらペラペラおしゃべりしていたら、まるで追い出されるように帰らされたんですよね。「私がうるさいから早く出されちゃったのかな?」と思ったのですが、なんとその病院の回復室は「分単位で課金される仕組み」だったんです(驚)!つまり、早く出されたのは病院側の配慮でした。病院よりも自宅の方が落ち着くので、私は帰宅賛成派なのですが、食事だけは作って冷凍しておいたので、それで切り抜けました。

 最後に、質問の中に「アメリカで出産したら子どもは二重国籍が取れるので」と書かれていたので気になったのですが、アメリカは徴兵制度がある国です。知らない方が多いのでお話すると、アメリカ国籍を保持している場合、それが二重国籍でも、どの国に住んでいても、18歳になったらSelective Service System(徴兵登録制度)に登録する義務があります。日本にいても郵便やオンラインで登録可能ですが、国籍を保持したまま日本に帰国してうっかり忘れた場合、法律上は違反を犯していることになるので、将来アメリカに留学や就職する際に連邦学生ローンや連邦公務委員採用、奨学金などの利用はできません。二重国籍にはデメリットもあることをしっかり熟考されてみてください。

 アメリカで手術をする際に気を付けておきたいこともありますが、またの機会にお話しさせていただきますね。では、みなさま、ごきげんよう。

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