
【国際結婚・海外移住の質問に答えます!】
人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴17年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。
読者からの質問:大麻が合法の国に留学させるのは不安
娘が来年からアメリカの大学に留学する予定です。日本では俳優が大麻所持で逮捕されたり、有名企業の元会長がCBD入りサプリの購入で問題になっているのに、アメリカでは大麻が合法と聞いて不安を感じています。実際、アメリカではどうなのでしょうか?
州によって法律が異なることを活かして選ぶ
お母様のその気持ち、とってもわかります。情報が少なければ不安が募りますよね。
アメリカでは国全体の法律である連邦法とは別に州ごとの州法があるので、州によっては大麻が合法です。つまりアメリカ全土で合法なわけではありません。
合法の州では、お酒やタバコや葉巻と同じような感覚で大麻を受け止めている人もいるでしょうし、距離をとっている人もいるでしょう。合法なのですから受け止め方は本人次第だと思います。
反対に、私の住むケンタッキー州では大麻は違法です。今、日本で話題になっている「CBD入りサプリ」も、その中に含まれるTHC(大麻の主成分。向精神作用、多幸感や陶酔感を引き起こす)の含有量が0.3%以上のものは連邦法ではサプリではなく大麻とみなされるので、ケンタッキー州ではそれも違法です。
「CBD入りのサプリ」は錠剤、グミ、オイルなど形状は様々で、アメリカでは一般のスーパーマーケットや薬局に「リラックス効果」「安眠」「美肌」「ヘルシー」などを謳ってビタミンCなどの棚に普通に並んでいます。なので、購入する際にはTHCの含有量の表示をしっかり確かめるべき。でも成分の誤表示リスクもゼロではないし、移民法上のリスクも考えると使わないのが安全だと思います。
ちなみに合法州のひとつ、カリフォルニア州には大麻販売店が約3659軒(2024年ピューリサーチ調べ)もあるそうです。同州内のスタバの数が約3200軒なので、スタバの数よりも販売店の方が気持ち多い(汗)。これではたしかに生活に溶け込みやすい環境にみえますよね(それってどうなの?!)
なので、娘さんの留学先を州法を参考にして決めるのも、ひとつの方法ではないかと思います。
触れやすい環境を避ける
もうひとつアメリカの留学で注意したいのは、自分から手を出さなくても、大麻に触れてしまう環境に身をおいてしまうことです。
たとえば、大麻を吸っている人が集まりがちなのが、野外フェスやコンサート。会場の中にスカンク臭に似た独特の大麻の匂いが漂ってきて大変だった……とよく聞きますが、そこにいるだけで煙が自分の方に流れてきてしまうような場所に行くならば細心の注意が必要だと思います。 知り合いの学生さんから聞いた話では、寮の廊下なんかでも匂いが漂ってくることがあるそう。そのように「自分はいやでも吸い込んでしまう」状況が実はけっこうあるのです。
では、どうしたらいいのか? はい、そういう場所に行くのはなるべく避けることです(笑)。もしくは、それに気づいたら逃げる(笑)。知らなかったでは済まない国なので、自分の身は自分で守りましょう。
留学生はアメリカ人とは法律が違うことを忘れないで
そして忘れてはいけないのがアメリカの法律です。日本人留学生がアメリカで大麻を使ったらどうなるのでしょうか。
大切なことなのでまた書きますが、留学生を含めてビザ(査証)でアメリカに滞在・居住している人たち(グリーンカード保持者含む)は連邦法下に属するので、州の法律で合法でも大麻やCBD(THC含有量0.3%以上)の摂取は違法です。
考えられるデメリットは:
⚫️ビザの即取り消し:学生ビザや就労ビザは「品行」を条件に発給されています。違反があれば一発で取り消しです。
⚫️逮捕・強制送還:見つかれば警察沙汰になり、大学から処分される可能性あり。国外退去の手続きがとられます。
⚫️再入国禁止:強制送還された人は、最長で10年間アメリカに入国できないケースも。留学の終了だけでなく将来の仕事やキャリアにも影響大。
つまり「経験のために一回だけ……」でも、将来を一瞬で壊してしまう危険があるんです。「では、友だちに勧められたらどうすればいいの?」って思いますよね。そんなときはシンプルに笑顔で断るのが一番です。
“No thanks, I don’t do that.”(やめとく)
“Not my thing.”(私には合わないかな)
“My mom will kill me”(お母さんに殺される。ジョークのような本気、笑)
これくらいサラッとでOK。相手も「そっか」と引いてくれることがほとんどでしょう。
「ダメだからダメ!」ではなく、「なんで危ないのか」を親御さんと娘さんで一緒に話してみてください。リスクを知ったうえで、娘さんが自分で判断して断れるようになることが一番の安心材料ですよね。
留学中はホームシックになることもあると思いますので、アメリカの環境に慣れるまではLINEや電話などで声を聞かせてあげたり、ビデオ通話で話してあげるだけでも気持ちも落ち着くと思いますよ。私は20年近くアメリカに住んでいますが、気分が落ちている時はいまだに日本の母や姉に連絡しています、笑。
留学は子どもにとって大きなチャンス。でも文化や法律の違いには落とし穴もあります。だからこそ、親子で早いうちから「安全に楽しむための作戦会議」をしておくとより心強いと思います。今回のお話しが少しでもお役に立てれば幸いです。

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