アメリカで入国を拒否されるのは、どんな人?
国際結婚・海外移住

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人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴17年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:入国を拒否される日本人とは?

在米でグリーンカード(米国永住権)保持者ですが、最近アメリカの空港で日本人でも入国を拒否される人が多いとSNSでよく見るので、怖くて日本に里帰りするのをためらっています。しばらくはアメリカを出国するのは控えた方が良いですか?

アメリカの入国を拒否される人たち

 こんにちは。アメリカの空港で入国を拒否された人たちのYouTubeやSNSの投稿、最近すごく多く見かけますよね。私も「えーっ、なんで〜?」とびっくりしました。

 私は専門家ではないので回答はあくまで個人の見解ですが、拒否された人たちの投稿を見ると、断トツに多いのが単独か2人で入国しようとする日本人女性。アメリカで性的なサービスを提供するアルバイトをして逮捕されるアジア人女性が急増中だからみたいです。この状況を懸念して、該当しそうな人をアメリカに入国させないケースが増えているという話を初めて聞いたときは「日本人がそんな出稼ぎをするの?!」と驚きましたが、「お金が簡単に稼げる」と聞いて軽い気持ちで渡米してしまう人が多いようですね。

 でも「外国でお金を稼ぐ」ということは「その国で働く」ということですから、当然、就労ビザが必要になります。なのにビザを取らずに、ふらっとESTAで旅行のように渡米しまう人たちが大半なのが現実。アメリカのビザを取ったことがある方はご存知だと思いますが、アメリカで就労ビザ(EAD)の取得はけっこう厳しいんです。  そもそも、そういう安易な考えの人たちは観光だと嘘をついてESTAで来るそうですが、ESTAや留学ビザで入国してアメリカで働くのは違法行為。入国管理官が「独身の女性(男性)」「滞在先や目的があやふやな人」「日本で就職していない人(学生含む)」「英語で旅行の目的などを説明できない人」などを別室に連れて行き、さらに詳しい面接をして入国を許可するかどうか判断する頻度が上がるのは無理もなさそうです。

アメリカにはキャバクラはない

 そもそも、アメリカには日本のようなキャバクラや、ホステスがいるクラブはありません。アメリカでも主要都市にはアジア圏にある「そういう店」を真似たような店(ニューヨークのピアノバーとか)が数えられる程度にあるというレベルなので、大半のアメリカ人男性はキャバクラの存在や、それがどういうサービスを提供している場所なのかも知らないと思います。

 SNSの影響からなのか、若い日本人女性にはキャバクラで働くことに抵抗がない人や、キャバ嬢に憧れる人もいるようですよね。でもアメリカでは一般的に言って、キャバ嬢はいません。キャバ嬢に近い職業は「エスコートサービスに従事する女性」ということで、エスコートガールでしょうか。

 ただ、エスコートサービスの中には、合法ではないのに性的なサービスを提供することも多く、アメリカでは危険な職業です。日本の「デリヘル」のようなものでしょうか。でも、何に対してもおおらかでオープンそうなアメリカですが、「女性を売りにする」ことが実はとっても厳しく取り締まられている国でもあるんです。

 それはアメリカ国内で違法労働をするのを防ぐためだけではありません。女性たちを性的な商売に使うために拉致・監禁したり、人身売買犯罪に巻き込まれることを防ぐためでもあります。薬物を投与されて抵抗できない状態にしてから、売り飛ばされるなんてことが本当に起こる国ですから、アメリカでは「人がいなくなる」、つまり行方不明者の数が膨大なんです。FBIのNCIC(全国犯罪情報センター)によると、届が出ているだけでも「行方不明の女性の人数」はなんと53万人を超えています(2024年データ)。それがどれほど多いか実感しにくいと思いますが、アメリカで行方不明になっている女性の人数は、鳥取県の人口(53万人弱)より多いと知ると少しリアルに伝わるでしょうか。

 そして、そのうち「明らかに人身売買に巻き込まれた」と判明した件数は、NGO団体「Step to Hope」によると約2万4000人もいました。判明していないケースが大半……これが現実です。

グリーンカード所持者も安心できないの?

 グリーンカードを所持しているから大丈夫と思っていた私がドキッとした例が「グリーンカードを所持していたのにアメリカに戻った時に強制送還になってしまった」という事例。私も日本に帰省する直前でしたから、正直ちょっとビビリましたね。

 調べてみると、アメリカに居住している間に何らかの犯罪・軽犯罪も含めて履歴がある場合がほとんどでした。なので、何も問題を起こしていない私は大丈夫だろうと思いつつも、アメリカへの入国の際はちょっとドキドキしました、笑。

 私は「グローバル・エントリー」も取っているので、飛行機を降りてから入国にかかった時間は約10分。国内線への乗り換えゲートまで30分で到着してしまうという過去最短記録を更新したので拍子抜けしました。でも、気をつけなくてはいけないなと思ったことがいくつかありました。

 まずはもちろん、アメリカでの素行には注意すること。例えばスピード違反などでも(州によって違なる)犯罪歴が残りますし、ちょっとのスピード違反も何度も繰り返した場合は逮捕されて裁判になり、グリーンカードやグローバル・エントリーを剥奪されます。

 他にも、グリーンカードの明らかな剥奪理由は殺人、麻薬、詐欺、偽装結婚、重大な暴力犯罪など。こういった犯罪履歴は市民権を取得してアメリカ人になった人でも、それを剥奪されるんです。当たり前だといえば当たり前ですが、市民権を取っても真の「アメリカ人」にはなれないんだな~と思った次第です。

 というわけで、質問者さんが上記に該当していなければ、帰省しても大丈夫だと思われます。しょっちゅう会えない遠くにすむ自分の家族……会いたいですよね! 私たち世代が親と会える時間には限りがあります。会いに行ける時間があるなら、私は会いに行かれるのをおススメします。楽しく幸せな時間を過ごしてきてください!

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