
「どうすれば幸せになれる?」「老後のお金は足りる?」何歳になっても悩みは尽きず、ひとりではなかなか前に進めない……。そんなあなたの背中をバシッと押してくれる頼もしい京都の姐さん、なかまつ小百合先生の痛快連載コラム。あなたのお悩み、何でしょう?
経済的な自立を目指せと言われて育った
あなたの価値はあなたの給料と同じじゃない
あなたの笑顔や言葉かけ
あなたがいるだけで人を幸せにしているんや
ほんまやで
自分の価値、ってなんやと思う?
私は自分の給料の額やとおもてた。
だって小さい頃からこう言われてたんや。
「あんたは一人っ子やし、ずっと働かなあかんで。
パートやったらあかんで。
社員でないとあかんで。ボーナスもないし、昇進もせん。
結婚しても、旦那さんの保険証つこてるようではあかんで。
自分の保険証つこて、自立してなあかんで。
そして
親に仕送りしなかんようになっても
旦那さんの給料とちごて、
自分の給料から仕送りできるようでインとあかんで」って。
よう言うてくれるわ。
でも、
私はそのことを、あたかも自分自身で決めたかのように
「そないしなあかん」って思ててん。
自分の価値がゼロになった気がした
だから、
鬱になって、働けへんなって、
働くどころか
買い物もできん
電話も取れへん
ゴミも出せへん。
そないなってしもた時、
情けのうて、情けのうて。
いままで悪いこともせんと
人にいじわるもせんと
やってきたのに。
一所懸命、仕事に、育児に、頑張ってきたのに。
その結果がこれか、って。
もうな、愕然としてん。
これから先、
私は、2度と働けへん。
心から笑う事もない。
そうおもてん。
周りからどんなに励まされても、
心を込めて綴られた手紙を読んでも
それに応えることは、とてもムリ。
生き続けていくことが、ただただ面倒くさかった。
スーパーのレジをしている友人が
眩しくて、羨ましくて仕方なかった。
その時の私が思った私の価値は
0や。
いや、マイナスやったかもしれへん。
自分の幼い子どもやったら
自分の母親やったら
どんなに病気でお金がいっても
働けなくても
価値がないなんて思わへんやろう。
そやけど人間、自分には厳しいんや。
自分も誰かの親であり
誰かの子どもで
かけがえのない存在なんや、ってこと
思いもせえへん。
今が人生のクライマックス
私の鬱が極悪期だった時から13年が経った。
私は今、会社を作り
たくさんの生徒さんが集ってくれて
たくさんの卒業生が支えてくれている。
私は今が人生のクライマックスやとおもてる。
今、61歳で一番仕事をしている。
そして、それがめちゃ楽しいねん。
人生には山谷がある。
どん底の時は、もう何をやってもあかん、失敗者やと思てしまう。
絶えず人と比較し、自分が劣っているとこばかり見つけては自分を責める。
そやけどな、
違うって。
あなたの価値は、あなたが気づいてないだけで
あなたの、どんくさい、情けないとおもてる欠点の何倍もあるんやって。
何人の人を励ましてきた?
何人の人に笑いかけた?
世界に唯一の
心から望まれて
この世に生まれた命
たかが今
仕事がないくらいで
価値がなくなったりするもんか。
世界で一番、光り輝く存在。
それが「私」や。
思い出してや!
