消極的なエゴも「エゴ」

「エゴ」と聞いて思い浮かべるのは、どんなこと?

 みなさんが「エゴ」という言葉を耳にするとき、そこから思い浮かべるのは、どんなものでしょうか? 権威的な態度に出ること、自慢すること、絶対に自分が正しいという態度を崩さないことなど、どちらかと言うとアグレッシブに自己主張をするような人を思い浮かべるのではないでしょうか?

 いつも人に威張り散らしていたり、自分勝手にワガママし放題。気分がすぐれなければ怒鳴ることもある。こういう旗迷惑な人のことを、人はたいてい「エゴ」を持った人だと判断します。

 こうしたエゴは、とても分かりやすいものです。しかし厄介なのは、エゴには「消極的なエゴ」も存在する点。この手のエゴは、ともすると気づきにくいものです。そういうエゴを自分が振り回している場合にも、他人が振り回している場合にも。

 ではこの「消極的なエゴ」とは一体、どんなものなのでしょうか?

自己評価を、第三者に認めさせようとする人たち

 例をあげましょう。

(A) これと言って自分の主張を言葉にすることはないけれど、自分に都合が悪いことに対しては黙ったまま何も答えなくなったり、協力的ではなくなったり、理由をつけて手伝わないような人 

(B) 年がら年中「自分は頑張っています」とか、「私は忙しいんです」など、自分の立場を説明しまくる人

 (A)も(B)も、実は「エゴ」の成せる業かもしれません。

 まず簡単な方から説明していきます。(B)のように、「自分は一生懸命がんばっているんです!」というような説明を常にしたい人は、それ自体が自己主張であることに気づいていないケースが多いと言えます。何かに取り組んでいるとき、あるいは何かを間違った時などに、必死に「がんばっています」、「忙しいんです」などの言葉を頻繁に使ってしまう場合、その人は自分の中の自己評価を第三者に認めさせるのに、必死なのかもしれません。

 もちろん、がんばりは素晴らしいものです。間違いがあった時に「自分は必死だった」、「自分のせいではない」と自分の正当性などを証明することも大切かもしれません。しかし、それを感情優位に周囲に認めさせようとするのは、結局は自己主張だったりします。

 頑張るという言葉は、頑なに張ると書きます。そこにある頑なさは、エゴなんです。特に自分では気づかぬうちにやっていることが多い「がんばっています」アピールは、周囲を疲弊させることも多々あります。ですから、そう主張をし続ける傾向がある方は、そのアピールをしたくなったら、努めて一呼吸おく癖をついた方がよいかもしれません。

周囲を巻き込む、「大人しい」やっかいな人の正体 

 次は、エゴの中でも一番やっかいな(A)のパターンについて説明しましょう。この手のエゴが困るのは、本人が自分の主張をあからさまに言葉にするわけではないので、周囲の人もそれに振り回されていることを自覚できないことが多い点です。けれど、この手のエゴを表に出す人は、毎度同じような態度をとって自分が納得しないことを認めないか、納得しないことには協力しないなどの行動を取るので、本当にやっかいです。

 特に、必要なコミュニケーションを取ろうとしても、この手の人がコミュニケーションを断ち切るかのようにシャッターを閉めてしまうような場合、周囲はやるせない気持ちになります。そう、実は「だんまり」ほど、やっかいなエゴの表現はないのです。

 質問しただけなのに、黙られた側は本当に対応に困ってしまうもの。もしも、こうした方に振り回されている可能性があると思う方がいたら、間違っても「自分が相手に悪いことをしたかもしれない」と、ご自身を不必要に責めるようなことはしないようにしましょう(笑)。

 こういう方への対処は、相手の対応を尊重しながらも、自分の気持ちを伝えることが重要になります。「もしかして、黙ってしまったのは私が何か傷つけてしまったのかな? けれど黙ってしまわれると、私も困ってどうしていいのか分らない。あなたも困るかもしれないけれど、私もとても困っている。だから、あなたが黙るその理由を教えてもらえますか?」というように。

 消極的なエゴも「エゴ」。小さな自己主張は手放したほうが、人生はずっと素敵です。

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