ひたすらイケメン主人公に癒されたい夜に「今夜、観たい映画」

Vol. 7「君の名前で僕を呼んで」

 皆さんは「最近のイケメン俳優」というと、誰を思い浮かべますか?

私のようなR 40〜R 50ですと、アンディ・ガルシア、ブラピ、ジョニデ、クルーニー、トム・クルーズあたりでしたが、時代は変わりました。一昨年あたりから、凄い俳優が彗星の如く現れたのです。

まるで芸術品のような整った顔年齢にしては落ち着いた佇まい、憂いを含んだ瞳……に、私はもう夢中になっております。

その俳優とは今、世界で最もイケメンといわれるティモシー・シャル、24歳。
父親はフランス人で、NY 育ち。

近年でこれだけの魅力を持つ若い俳優はいないのではないかと思うぐらい、圧倒的な品格を放っています。

彼の出演作はいくつもありますが、今回は彼がアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた「君の名前で僕を呼んで」をご紹介したいと思います。まずは、その美しい姿をおさめた予告編をご覧になってくださいませ。

今、世界で最もイケメンと言われている俳優

 ね、美しいでしょう(笑)? まずは、シャルメ君の話題になった出演作をざっとお伝えしますね。

 2014年公開の「インターステラー」から始まり、注目を浴びたのがその3年後に公開された主演作、ルカ・グァダニーノ監督の「君の名前で僕を呼んで」(2017年)。なんとこの作品で、いきなり第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートをされたんですよね。残念ながらオスカーは逃したものの、まだまだチャンスはあるでしょう。

 この後も続々と話題作が公開となります。同年に以前このコーナーでもご紹介した「レディ・バード」で、シアーシャ・ローナンが演じた主人公を振ってしまう役を演じていました。そして今年6月に公開された「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」では、シアーシャ・ローナンに振られるという役柄。さらに7月には、ウディ・アレン監督の「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」でエル・ファニングと共演しているので、既にご存知の方も多いことでしょう。

 11月18日公開予定のハリウッド大作「DUNE /デューン 砂の惑星」では主演もつとめ、完全にメジャー入りしております。私だけのティモシーと思っていたのに……(涙)。

品格のある男性とは

 私が個人的に、ティモシー君が他の俳優とは違うと思ったのは「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」あたりから。この作品で彼が演じたローリー役の設定は大富豪の孫で、気遣いの出来るジェントルマンという役柄。この役はやはり品がないと出来なかったと思うのです。

そして、彼の品は「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」の中にも見られます。大学生なのにスマホ片手に五つ星ホテル、「ザ・カーライル」でひとり呑みしているハイソな役柄。やっぱり「品」って、どんなにイケメンでも、演技が上手でも、1日にしてならずだとあらためて感じさせてくれる俳優なのです。

 で、ここで思い出したのが、私の母の世代あたりが夢中になっていたフランス人俳優アラン・ドロンにまつわるお話。塩野七生さんの「男たちへ」というエッセイの第30章 食べ方についての中にシビアなコメントがあるので、そこからシェアさせていただきますと……

 アラン・ドロンは美男である。だが、あの美しさは、下層階級の男のものである。気品とか品格とかいうものとは無縁の、美男なのだ。

この続きは是非、エッセイを読んでいただきたいんですが、要はティモシー君は「イケメン+品」を持ち合わせている点が、他の俳優よりもずば抜けて魅力的に感じるのです。私が言うととても生意気に取られてしまうかも?ですが。過去にもこれだけ印象に残る俳優って、私の中ではいなかったなぁ……と思ってしまうほど、これから大注目の役者なのです。

美しい男性ふたりの美しいラブストーリー

 「君の名前で僕を呼んで」は、ティモシーが演じる17歳のエリオと、オリヴァー役のアーミー・ハマーのラブストーリーです。

舞台は1980年代の北イタリア。夏の気怠い空気が画面から流れてくるような映像が映し出されます。

80年代は、まだ同性と関係を持つことはタブーであった時代。

どちらとも自分がゲイであるというSelf-identityがなく惹かれあって行く話が描かれています。

最初は互いが惹かれていることに気づかなかった二人ですが徐々に恋に落ちていくのです。

が、ここまでに至る二人の関係がもどかしいほど長い

話題になったエリオがベッドの上で桃を潰すシーンは、とてもエロティックで象徴的。

ティモシーのファンがこの映画の話をする時の絵文字は「桃」でしたが、このシーンは決していやらしくなく、どこまでも美しいのです。

彼と恋に落ちるアーミー・ハマーも素敵。
アクションやアドベンチャー映画に出ていた役者さんですが、このオリヴァー役では幅広い演技を見せてくれました。

そして夏の終わりとともに、オリヴァーがイタリアを去る日が近づいてくるのです。

映画の終わりに父親がエリオに話す言葉がとても心に残ります。

「悲しみ、苦しみは苦しいだろう。痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに」。

グァダニーノ監督は、その瞬間の人間の感情や雰囲気をこの映画を通して観客に伝えています。北イタリアは監督の故郷だそう。

今作で脚色賞を受賞したジェームス・アイボリーは、「日の名残り」や「眺めのいい部屋」も手がけており、作品はゆっくりと時間が流れて行く雰囲気に包まれています。

グァダニーノ監督は、以前このコーナーで紹介したリンクレーター監督の「Tribology」のように、「数年後の二人」の映画も撮りたいとコメントしているので、エリオ役のティモシー・シャラメがそのとき、どんな役者に成長しているのか楽しみですね。

きっとますます魅力的になっていることでしょう! もしかするとオスカーも受賞しているかも? 

気になる方は是非、この映画だけではなく、ティモシーの他の作品もご覧になってくださいね。

では、次回もお楽しみに。


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