ハーレクインは「変装」まみれ!

 世界中の多くの女性たちの心をトロトロに溶かしてきた恋愛小説シリーズ、「ハーレクインロマンス」。今回、フォーカスを当てたいのは「謎の美女」です。

 「変装したってバレるでしょう?」とも思うんですが、恋する女性が変装して相手の男性に近づくというのは、ハーレクインの世界では「あるある」です(笑)。冴えないヒロインが「急に美女に大変身!」というのも、ほとんどの物語にみられるパターンです。 読者からすると、その無理やりなストーリー展開は見るからにバレバレなんですが、物語の中では男性側が気づかなかったり、あるいは気づいているんだかどうかが微妙……という感じに展開していくのです。

 そんな謎の美女が登場する物語の中でも、私のイチオシはシャロン・サラの『夜は別の顔』という作品。これはマンガから先に読んだんですが、なかなかいいんですよ~。しかも私と同じように思う人が大勢いらっしゃるようで、ものすごい高評価なんです(なんとアマゾンで★51)。高山繭さんという漫画家さんがコミカライズしているんですが、絵がとても綺麗、ヒーローの男前さがたまらない感じで、ホントに素敵に仕上がっています!

『夜は別の顔』シャロン・サラ著

『夜は別の顔』(ハーレクインロマンス)

『夜は別の顔』(ハーレクインコミックス)

 物語の舞台はアメリカのとある田舎町。若いのにオバさん臭くて、ダサダサな主人公のアメリアは、図書館で司書をしています。牛乳瓶の瓶底眼鏡、冴えない髪型、サイズも流行も無視したような服装で、とにかく慎ましいことが最優先。まるで「オンナでいること」を否定しているような生活を送っているのは、亡くなった両親に代わって、一生独身を貫き自分を育ててくれた叔母たちを、今度は自分が支えねばという覚悟の表れでもありました。

 しかし、そんな彼女にも、若い女性らしい「ささやかな夢」がありました。それは車を買うこと。その資金を作るため、彼女には夜になると別人となって、セクシーな服装でウエイトレスをしているという秘密があります。その時のアメリアは、美女そのものでした。

 ある日、いつものようにウエイトレスとして働いていると、お客の中に以前から憧れていたタイラーがやってきます。彼は街一番のセクシー男子。その彼が彼女を見るなり、アメリアだと気づかず熱烈にアプローチしてきて......。彼が彼女の正体に気づいているのか、気づいていないのか? いろいろな事件がありながら迎えるハッピーエンドには、ちょっとウルっとしてしまいます。

胸キュンポイントとツッコミポイント

 ハーレクインというのは通常、大金持ちだったり、成功者だったりするヒーローとの恋がお決まりなのですが、この作品のヒーローであるタイラーは農場主という設定で、ちょっと異質なキャラだったりします。畑のオーナーではあるものの農業従事者らしく、日々額に汗して働いている人。夢のような豪邸に住んでいるわけでも、プライベートジェットを持っているわけでもなく、乗っている車もピックアップ・トラックです。

 そんな設定がかえって素敵で、「手に届きそうなヒーロー感」がたまりません。こういう男性のことを真に「いい男」というのだろうと思えるようなカッコよさがあります。一途にアメリアを思う気持ちがとても清々しく、ハーレクイン・ファンでなくても、彼の男前度にメロメロになる女性は多いはずです。

 また、とても素敵な脇役として登場するアメリアの叔母たちが、物語に深みを加えてくれるのも、この物語を特別なものに仕立てています。叔母たちのアメリアへの愛、アメリアから叔母たちのへの愛。それをタイラーが言葉で素敵に表すシーンは感動的で、人によっては号泣しちゃうかもしれません!

 そしてツッコミポイントは、やっぱりアメリアの「変身」でしょう。いくらなんでも、普段とのギャップがありすぎる……。そもそも、ダサい女がそんな簡単にセクシー美女になれるものなのでしょうか。自分の顔を鏡で見ながら「恐らく無理……」と、自分でツッコミを入れたくなりました(笑)。

【作品評価】
胸キュン度★★★★★
ヒーローの男前度★★★★★
ヒロインの健気度★★★★★
物語の展開(意外性)★★★☆☆

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