「女性を幸せにする社会を作りたい!」―二人で目指す新しい時代

 「女性同士の起業は難しい」と言われることがありますが、「女性同士だからこそ、できる起業があり、事業がある」ということを、まさに体現する生き方をされている方々がいらっしゃいます。それは、女性特有のお悩みを解決する数々の商品を開発販売する「シルキースタイル」を率いる、山田奈央子さんと上田美央さん。

 彼女たちが手がけるのは、女性の下着を中心としたデリケートゾーン・アイテムや、化粧品や美顔器等の機能を兼ね備えて女性特有のお悩みを解決する商品の企画、開発、販売など。東洋医学の概念に基づき、「未病」の観点からボディオロジーというメソッドをベースに、心と体のメンテナンスを行うサロンの運営などもされています。

 大学の同級生だったというお二人に、前編・後編に分けてじっくりお話を伺います!

大学の同級生だった二人が、なぜ一緒に起業したのか?

 同社を経営する山田さんと上田さんは、大学の同級生。どういうきっかけで2人で会社を創業することになったのでしょうか。

<山田さん>
 今では企業理念にしていますが、女性がキャリアとビューティーを継続できる社会を目指すことと、ビューティー・プロダクツを通じて日本と世界をつなぎたいという想いが2人とも一致していた、というところがとても大きかったと思います。

 私は新卒で下着メーカーに就職し、商品企画・開発を行っていたので、とても自然な流れでこの気持ちを抱いていましたし、上田は外資金融でバリバリ働いていたからこそ、女性らしいライフスタイルを送り続けるためにはどうしたらよいか、ということを考えていました。当時、それぞれ別の場所で「とってもいい! こんな商品作りたい!」と思えたボディケア・ソルトに出会って感動したことがあるんです。その出来事が、二人でビジネスを始めるきっかけになりました。お互いの価値観を共有し、将来女性としてこうなりたい、こういう働き方をしたい、こんな社会を作りたい、という方向性が同じだったので会社をスタートさせるに至った感じです。

2人とも社長という会社

 御社では山田さんと上田さんのお二人ともが社長という形態をとられています。「2人社長制」を採用した理由とは何だったのでしょうか。

<山田さん・上田さん>
 2人で会社を作る、だから2人とも代表、というのは私たちにとっては自然な流れでした。それぞれが自由な発想とアンテナで動いていく。それを融合して掛け算していくことができると思いました。

 2人で経営する良さは、いつも同じゴールを見据えた上で、違った視点の見方がもうひとつあること。そして、会社の波に対して攻める時と守る時を交互にもできるので、いつでも攻められる会社、新しいことができる会社であり続けることができる点です。一時期、双方の意見の中間地点を取ってしまう傾向があった時期もありましたが、今では幅広い意見を取り入れながら「最終的にはこれ!」という、自分たちが理想としていた掛け算の考えに持って行けるようになったと思っています。

ライフワーク・バランスをうまく取りながら働く

 上田さんは、ニューヨークにお住まいだったことがあるのですよね? 海外での経験は、現在の事業にも生きていますか?

<上田さん>
 私は起業前、外資金融業界で働き、ニューヨークでも仕事をしていました。その頃に経験したプロフェッショナル・ワークシェア(時間を限定するのでなく曜日を限定して、複数のプロフェッショナルが一緒の仕事をする)に関心があり、女性のライフステージにおいて2人でタッグを組むということが、日本にも広がればとの思いもありました。

 特に女性には、出産というライフイベントもあります。ですから、プロフェッショナル・ワークシェアは、ライフ・ワークバランスを女性が取り続けることにおいても役立つと思うのです。私たち自身が組織を作る際にも、そこを大切にしました。

 「ライフワーク・バランス」という話題が出ましたが、山田さんは2人を出産、上田さんは1人出産していらっしゃいますよね? 出産や子育てでも支え合えたということですか?

<上田さん>
 社長が産休を取ることを、取引先は不安要素と感じやすいものです。そういった状況の中でも一方がカバーをし、通常運営を会社としてできるのは、取引先に対しても、社内に対しても安心してもらえるという、大きなメリットを感じました。お互いのライフステージやライフイベントを尊重しあえる点でも、女性二人での共同経営はとてもよいと感じています。

 ライフバランスをうまく取りながら仕事をしたいと思っている女性は多いはず。お子さんがいらっしゃるお二人は、プライベートとキャリアをどう両立されていますか?

<山田さん>
 両立のために大事にしていることは、時間管理、マネージメント力、段取りです。仕事中は1分1秒も無駄にできない気持ちがあるので、たとえば会議は効率よく進行できるようにアジェンダや資料は事前に共有し目を通しておいてもらったり、会議終了後は議事録をすぐに共有など、当たり前のことを当たり前にやるだけでも無駄な時間や作業が省かれます。移動中の隙間時間にSNSやニュースをチェックしたり、お風呂中や歩いている時にSNSや記事のネタを考えるなど、隙間時間を有効活用しています。

 家庭でもマネージメント力が大事だと思っていますので、我が家ではとにかく子供、夫が、「自分のことは何でも自分たちでする」ということを、習慣化してもらいました。子供であっても着替えや学校の支度はもちろん、料理作りから配膳、掃除のお手伝いまでなんでもできるように自立させているので、それだけで気持ちも楽になりますし、家で私が他にできることが増えます。主人は私以上に家事や炊事のスキルが高いので、出張中も安心して子供のお弁当作りもお願いし、出かけられるので助かっています。

<上田さん>
 プライベートとキャリアの両立のためには、周囲に頼れる環境づくりと、自分の時間のスペースづくりが大切だと思います。定期的にベビーシッターや家事などを任せるスケジュールをはじめから組むことで、プラスαの時間的な余裕を持つように心がけています。また、子供に対しても仕事で忙しいことを応援してくれる土壌の醸成を目指しています。

フェムテックを通じ、多くの女性たちへ

 お二人が事業を展開するにあたり、大切にされている理念はありますか?

<上田さん>
 私たちは「世の中の風を常に読み、社会が求めていることはどういうことか」という視点を、とても大事にしています。その上で新しい価値を社会に提供すること社会的な意義あることで社会に還元していくことができる起業家でいたいと思っています。

 そうした理念は、どのように社内環境に生かしているのでしょう?

<山田さん>
 メンバー全員が新しい情報を常に吸収することを楽しみ、新しいチャレンジを考え、仕事を楽しくポジティブに情熱的にしていく組織であることと、それを後押しする基盤をしっかり持てるようにしていくことが、大切だと思っています。弊社では社員が突然「こういうことにチャレンジしたい」と言っても、それがよっぽど領域が外れていない限り、チャレンジしてもらう環境を用意しているんです。シルキースタイルはスペシャリスト集団であって欲しいとも考えているので、自分の興味や、やりたいことを常に追求し続けられる個を大切にする組織でありたいと思っていますし、それをベースに社内環境を整えているつもりです。

 そんなお二人の会社は、現在「フェムテック・カンパニー」として、注目をされています。「フェムテック」とは何を指すのでしょう?

<山田さん>
 「フェムテック(FemTech)」は、女性(Female)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語です。女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品(製品)やサービスを指しますが、私たちの会社では、下着をはじめ「女性にとって痒いところに手が届く」商品やサービスを展開しています。長年、女性特有の課題解決に向き合った商品を開発してきた中で、「それを個の課題解決から社会としての課題として捉え向き合い、解決していていきたいですね。

 具体的に今後取り組みたいことなどのプランはありますか?

<山田さん>
 フェムテックの知識の普及を目指して、フェムテック協会の設立を予定しています。運営を通して、個人、家庭、企業、行政、社会が一体となって女性の課題解決に向けた仕組みづくりを行い、フェムテック・フェムケアという言葉が一般的な言葉にとして男女関係なく多くの人に知識として根付き、様々な女性の課題解決の商品を生み出していきたい。さらには、常に女性が心と体の状態をチェックし、メンテナンスをできる管理アプリから体のプロとの連携等、未病の観点で自分のフェムケア・スタイルの確立ができる仕組みづくりをしていきたいです。

——後編ではさらに深く、フェムテックについてお話を伺います——

お二人のプロフィール:

(株)シルキースタイル代表取締役社長/下着コンシェルジュ 山田奈央子

盛岡生まれ、サウジアラビア育ち。上智大学卒業後、大手下着メーカーに入社。下着 の企画・開発・MDを行った後、国内メーカー・インポートランジェリーの販売も経験。世界初の下着コンシェルジュとして、世の中の女性にもっと下着を楽しんで欲しい想いで下着セミナーを開催し、雑誌・TV・インターネットなどでも下着のアドバイスを行う。下着コンシェルジュとして内面美の追求を行いながら、2006年に上田美央と会社を設立。下着を着た時に素肌が綺麗に見えるためのボディーケア商品やコスメ商品を扱い 、女性の内面美と外見美のトータルビューティー・コーディネートも行っている。著書に『とっておきの一着さえあればいい』(宝島社)、『下着の品格』(カナリア書房)がある。

(株)シルキースタイル代表取締役社長/温活プランナー 上田美央

上智大学卒業後、大手外資系金融機関で銀行の運用アドバイスを行った後、国内上場証券会社にて PR ・IR を担当。過酷な労働環境で、体調の不良も経験したころから、輝きながら働き続けられる女性を増やしたいという思いで、女性の美容や健康などの商品設計や企画などを行うシルキースタイルを山田奈央子と設立。自社商品ブランドOn de miuブランドの設計や運営をしながら、雑誌やテレビ向けに美容・健康商品の企画・設計・MDなどを幅広い商品を体のプロフェッショナルの観点を生かして行う。

シルキースタイル公式サイト https://www.silky-style.com/

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